霧の中で蜘蛛巣城を観るもエ~ガね
見よ 妄執の夢の跡
魂魄 未だ住むごとし
それ 執心の修羅の道
昔も今も かわりなし
真夜中に黒澤明監督の『蜘蛛巣城』を観た。シェイクスピアの「マクベス」を原案にした戦国ものだ。何度目…いや、観るのは何10回目かだろうな。
DVDでは字幕付きで観る。言葉が聴き取れないからだ。わしは古い黒澤映画が大好きで、ときどき…原点に戻りたくなると観る。
『蜘蛛巣城』は後の『影武者』や『乱』につながる作品だが、わしはこっちのほうが好きだ。
古い映画が好きというわけでもない。わしはおもしろい映画が好きなのだ。
それに加えて、表現の源流を知りたいと思ってしまう。『スターウォーズ』の源流に黒澤映画の『隠し砦の三悪人』があるように…。
たとえば、わしは長野県を流れる梓川に愛着がある。槍ヶ岳付近からの幾筋かの小さな流れが、やがて梓川になっていくのを観て…感動した。それに近い。
またたとえば、マンガのフキダシはどうしてできたんだろうと調べてみたことがある。するとそのひとつは…屏風絵にたどり着く。それにも近い。
黒澤作品の多くは後になって別の映画として作り直されている。黒澤プロとしては経済的理由でリメイク権を売る必要があったんだろうな。でも…正直、なくてもよかったと思うことがほとんど。オリジナルを観返すほうがずっといい。
コロナのせいでNHKは「麒麟がくる」を休むらしい。五里霧中…。ならば、その間に『蜘蛛巣城』観賞はいかがであろう。1957年作品。
https://youtu.be/DEnYge75BEw
そういえば、スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』のつづきだかの『2030年』という誰かがつくった映画があった。なくてもよかった。
同監督の『シャイニング』のつづきの『ドクタースリープ』というのもあった。申しわけないけど、なくてもよかったな。
『デューン』はリメイクとはまた違うんだろうな。オリジナル映画のデキがよかったとはいえないし、リブートだから再起動ってことかな。どんな砂の惑星アラキス=デューンを見せてくれるだろう。
数々の映画の源流でもあるフランク・ハーバートのあの長くて濃密な原作小説。1本の映画で表現するには無理がある。前・後編に分けるのは妥当だろう。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督に期待している。何年も待っていた。映画は主食。11月が楽しみだ。