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惑星ソラリスへ行くもエ〜ガね

映画観賞と読書はまったく別のものです。ところが、まるで読書するように観る映画があったのです。いつしか、自分の思い出と同化している。それがタルコフスキーの作品でした。
今回は昔観たアンドレイ・タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』のことを書きましょう。

http://www.youtube.com/watch?v=czUUOKIepYc

『2001年宇宙の旅』を書いたときから…この映画を取り上げなくちゃと思っていました。どこというわけではないのですが、通じるものがあると感じたからです。

旧ソビエト(現ロシア)のタルコフスキー作品はタルい。地味で長くて、眠くなります。国策なのか登場人物の笑顔さえもありませんしね。
母国への思いを込めた『ノスタルジア』や核戦争を背景とした『サクリファイス』を含めて、わしは若いときに眠気と戦いながらタルコフスキー作品を観たものです。でも、爺さんになって考えてみると、あのタルさは寺で聴く読経にも似て…心地よかったのだと思うのです。

『惑星ソラリス』はスタニスラフ・レムのSF小説が原作で、映画では前半の地球での話と、後半は宇宙船で向かった先の…ソラリス上空の観測ステーションでの話に分かれていました(テレビ放映の際は前半部分を大幅にカット)。
地球での撮影では、東京の高速道路が未来都市として使われていましたね。日本は旧ソビエトと同じく車が左側通行だし、都合がよかったんでしょう。でも、夜景はともかく「高崎行き」とかって日本語の標識くらいは消してほしかった。

観測ステーションでの話はとても興味深い。
ソラリスは海の惑星で、それが理性を持っているのです。海は“脳”なのです。
人間へのサービスなのか、試しているのか、理解したいのか。どういう理由かはわかりませんが、その海が…人間にいろいろなものを見せるわけです。たとえば、それは…亡くなった子どもとか、亡くなった奥さんだったりする。そういう実体が観測ステーション内に現れるのです。乗員の心の奥底にあるものを海が読み取って…形にしているんでしょうね。
もちろん、本物ソックリだけど、本物の子どもや奥さんじゃない。怖いですね。映画はそういう…海と主人公クリスとの接触を描いています。

この映画はスティーヴン・ソダバーグ監督によって、ジョージ・クルーニー主演でリメイクされました。でも、わしはオリジナル映画のほうがずっと好きですね。
『ベルリン・天使の詩』のリメイクもそうでしたが、アメリカ映画になると…ハデになってその反面、薄くなってしまいますね。

次にタルコフスキー監督がつくったのが、ストルガッキー兄弟の「路傍のピクニック」を原作にしたSFの『ストーカー』でした(現在使われるストーカーとは別の意味)。
水をモチーフにしているところやラストの表現などは『惑星ソラリス』に通じるかもしれません。この映画のことは改めて書きましょう。

ともかく、わしは『惑星ソラリス』が忘れられません。わしの心の奥の奥にしっかりと根付いているようです。きっと、血となり肉となっているんでしょう。
おもしろく観たけどタイトルすら覚えていないという映画とはまったく反対。眠くなるほど退屈と紙一重だったのに…しっかりと記憶の中にある。
不思議なものですね。

原作とは少し違うようですが、わしは映画のラストが大好きです。わし自身の夢とも同化してしまっていて、今でもわしは…映画のラストのような夢を見ます。いや、映画よりも夢のほうが先だったのかもしれませんけどね。たとえば、新宿のビル街の角を曲がるとそこに…山や田畑がいっぱいの郷里が出現するというような夢です。そこには廃屋となった懐かしい我が家があるのです。そこには亡くなったはずの両親がいたりする。 映画のラストと似ているのです。

こうなったら、映画のラストを書いてしまいますね。
理性を持った海が…人間にいろいろなものを見せるわけですが、ラストでは海に島ができる。海がそういうことをするわけです。クリスはそこへ行く。そこは主人公にとって懐かしい場所で…水が流れていて家があって…地球へ戻ったかのように何もかもが懐かしい。


わしはふと思いました。
もし、3・11で被災した人たちがソラリスに行ったら、海は何を見せるだろうかって…。
亡くなった人を見せるのだろうか。
東北の県の形をした島を浮かべるのだろうか。
なくなった町並みを再現させて見せてくれるのだろうか。
不謹慎な想像かもしれませんが…そんなことを考えてしまったのです。

この日を忘れることなく、亡くなった方の冥福を祈り…被災地には復興を願うばかりです。
http://www.youtube.com/watch?v=NSBjEvPH2j4

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