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日の名残りを想うもエ~ガね

何年ぶりかで登山をした。その翌日がオペラ観賞だった。久しい人にも会った。ひとりは山仲間。ひとりは仕事仲間だ。
山とオペラでわしの心は満たされ豊かになって、なぜかふと…『日の名残り』を思い出した。

https://youtu.be/FVuz8FWyFw0

イギリスのダーリントンホールと呼ばれる大邸宅。いわゆる貴族だろう。そこの執事だったスティーブンスが1930年代ころを回想する。

イギリス人の礼節。使用人と主人。世話する人と世話される人。彼らはわきまえた立場の中に誇りを見出すのか。階級制度は使用人の中にまであるようだ。新聞にアイロンをかける場面が印象深かった。

監督はジェームズ・アイヴォリー。主演は執事のスティーブンス演じるアンソニー・ホプキンスと、女中頭ケントン演じるエマ・トンプソン。それぞれ役者たちの渋い演技がまるで醸造されたワインの味わい。アンソニーが「演技は学ぶものではなく、人前でやるものだ」といったとか…。アンソニー・ホプキンスは噴火しない火山のようだ。

執事が主人に傾倒するように、そのころの主人はドイツに傾倒していたのだろうか。時代的にそうなのかもしれない。
いつまでも義務感は抜けない。それがプロの執事というものだろう。
自分はどうだったのか。自分はあのころ、主人に対してどう思っていたのか。自分の考えを破棄していなかったか。ケントンに対しては? ふたりの間は知的な緊張関係だけだったのか。
スティーブンスは自分を探して自問自答しているようにも見受けられた。自分の心の中への自分探しの旅、みたいな…。

『日の名残り』の原作は「遠い山なみの光」のカズオ・イシグロだ。何年か前の“エ~ガね日記”に書いたが、『わたしを離さないで』は生涯忘れることのできない映画だった。
あの主人公たちも…自分は誰なのかと問い詰めていた。それは原作者自身の問いかけでもあるのだろう。

イギリスでは日本人と呼ばれる。でも、本当にそうだろうかと悩んだに違いない。
言葉を覚えきらない幼いうちに別の言葉の国に移ると…その子のアイデンティティが崩れやすいといわれる。彼はギリギリのところにいたのかもしれない。しかし…だからこそ、カズオ・イシグロという作家が生まれたんだろうと思う。

彼は日本時代にマンガに馴染んだという。もしかして、手塚マンガとの接点はあったのだろうか。ふと…そんなことも思った。

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