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ライフ・オブ・パイに学ぶもエ~ガね

アン・リー監督の『ライフ・オブ・パイ』を観たのは何年前だろう。何とも不可思議なサバイバル映画で、『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』というタイトルだった。割り切れない気持ちが残った。そのときから原作を読んで確認したいと思っていた。
その原作本、ヤン・マーテルの「パイの物語」が…昔の仕事仲間から届いた。

https://youtu.be/HvwL4hBRDLE

文庫本で上下2冊を読んでみた。
ネタばれ表記はルール違反だとは思うが、新しい映画ではないし…あえて書いてみよう。
以下、注意…!

動物園経営をしていた家族が、インドからカナダへ移住することになる。
航海中にその(日本の)貨物船が沈没。大海原に投げ出されたピシン・モリトール・パテル少年。ニックネームはパイ。
ひとり生き残ったパテル=パイ少年。いや、ひとりではない。漂流することになる救命ボートにはシマウマ、オランウータン、獰猛なハイエナ…そして、ベンガルトラがいた。

映画館で観たとき、これが本当にあった話なのかと不思議だった。
救命ボートでのトラとのサバイラル・ストーリーは克明でリアルだ。でも、SFチックなミーアキャットの島が出てきたとき、おそらく…これは寓話だろうと思った。島の遠景が見えたからだ。島のシルエットは横になった女体をイメージしていた。ミーアキャットの島のパートでは、手塚マンガ「火の鳥」の“望郷編”を思い浮かべたし、実際に『ライフ・オブ・パイ』のDVDはレンタル屋のSF映画コーナーに置かれていた。
ところが、島の全景に関しては原作に表記はなかった。アン・リー監督の思惑だろう。

小説も映画も、小説家のヤン・マーテルが生存者のパテルを取材する形で進行する。
パテル=パイがラストでいう。最初、生き残ったのは4人だったと。4人とは…シマウマとオランウータンとハイエナのことか。陰惨な出来事を動物にたとえて話したのか。ベンガルトラはパテル自身か。絶望であり希望でもあった自らの内面か。
パテルは、動物と人とどっちの話のほうが好きかとヤン・マーテルに問う(原作では貨物船側の日本人に)。

実在の人物を取材…と思っていたが、そうではないようだ。
ここには表現の詐術がある。つまり、すべてが創作なのだ。

この小説は(映画も)動物学の宝庫だ。
と同時に、宗教学の宝庫でもある。むしろ、宗教小説(映画)かもしれない。おそらくそうだろうが、ここに触れると倍以上書かねばならないのでやめておこう。
ひとつ確信したのはタイトルのパイ、つまり3.14…。Πは割り切れない数字だ。観終わって割り切れない気持ちになったのは正解だったかもしれない。


自然界は比率とパターンで成り立っているという。まったく別の話だが、わしは『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』を観て読んで…なぜか、フィボナッチ数列の神秘を思い出した。不思議の海を漂う。

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