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トロッコに乗って知らない世界へ行くもエ〜ガね

わしは子どもの頃、トロッコに憧れました。奥深い山道につくられた木材運び出しのためのトロッコ。まるで、電車のおもちゃみたいなトロッコ。それに乗れば今まで知らなかった世界へ行けるような…そんなワクワクした気持ちになったものでした。

トロッコって何語かご存じですか? 実は日本語だという説があるのです。トロというネコを乗せていた“トロ号”から来ているという説です。かわいいですよね。

レンタル屋の棚の隅に、誰にも借りてもらえず忘れられたように置かれていた1枚のDVD。それが『トロッコ』でした。ジャケットには「芥川龍之介の短編小説をモチーフにしてつくられた映画」と書かれていたんです。

芥川龍之介の短編「トロッコ」には、子どもの頃にトロッコに乗ったときの高揚感や、行きはよいよい帰りは怖い的な様子が書かれています。そのときの自分を大人になっても思い出す。道はあの頃とつながっている…と。

『トロッコ』を観ました。原作小説での神奈川県から、映画では台湾の花蓮県に舞台が替わっていました。
若い母親の久美子がふたりの男の子を連れて、急死した夫の故郷である台湾に行くところから映画は始まります。両親に夫の遺骨を届けるために…。
久美子役はNHK朝ドラの尾野真千子。監督はこれが初監督作となる川口浩史(今はどうしているのかな)。
あとはすべて、緑がいっぱいの台湾での撮影です。初めての台湾。小学生兄弟の敦と凱の戸惑い。初めて会うお爺ちゃんとお婆ちゃん。その土地での人々。そして、そこに今も残っていたトロッコ…。ドキュメンタリーみたいですね。まるで、懐かしい昔の日本のような風景です。

最初、川口監督は芥川龍之介の「トロッコ」をモチーフにして短編映画をつくろうとしたんでしょう。そうしたら、台湾は花蓮の山中に撮影できるトロッコがあるという。そんなわけで、いろいろ肉付けして『トロッコ』はこういう…国をまたいでの家族の話になったんでしょうね。

子どもたちを預かって映画をつくったという点では、小栗康平の『泥の河』を思い出したりもしました。


わしは台湾のことを詳しく知らなかったんです。日本の植民地統治は50年もつづいたんですね。
そして、日本は戦争に負けて…台湾を見捨てた。国としてはそうせざるを得なかったでしょう。しかし、それに対して、台湾の人たちの心に「日本が好きなのに…いっしょに戦ったのに何もしてくれない」という愛憎が生まれたんでしょう。

日本が台湾を統治していた間…つまり日本時代、社会的秩序は安定していたようです。当時の人がその頃を記憶していて…孫たちにも「日本はすばらしい国だ」と語り伝えた。当然、日本製品も多く使われたでしょうしね。
現在、台湾の多くの若者たちが日本を好きでいてくれるのはそういうベースがあるからなんですね。

その頃を描いた『セデック・バレ』 という台湾映画があります。その映画のことは改めて取り上げましょう。

戦後、台湾は中国に返還されたわけです。
台湾の人たちが本国である中国を嫌うのはどうしてか。中国は…台湾の抵抗した民衆を武力で鎮圧した歴史があるんですね。
中国の内戦によって…毛沢東に敗れた蒋介石は、逃れた先の台湾で高圧的な統治を行なった。それは日本が統治していたころの安定したものとは違っていたんでしょう。

愛憎が入り交じった根深い歴史ですが、それを通り越して…国も民族も通り越して、真心で向き合いたい。そうしていつか、だんだんと家族になっていくんですね。

友好的な感情は大切…。その気持ちを大切にしよう。『トロッコ』からはそういう思いが伝わってきたんです。
でも、映画にはそういう歴史はほとんど出てきません。寡黙だし、淡々としています。ただ、敦と凱のお爺ちゃんの顔を観ていると…たどたどしい日本語を聴いていると…それだけで伝わってくるのです。
うまくいえませんが、『トロッコ』はそういう映画でしたね。

とはいっても、おそらく誰も観てないでしょうけど(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=fqD-pBGANN8


こういうのもあります。 心に染みますね。
世界の中の日本。アジアの中の日本。
恥ずかしくない国でありたい。
誇れる国でありたい。
http://www.youtube.com/watch?v=l7y34x-BVP8&feature=related


DVDラベル=トロッコ

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