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ビッグ・リトル・ファームで共生するもエ~ガね

久しぶりに[新宿ピカデリー]に行った。観客は15人くらいしかいなかった。それでも残り席はわずか。コロナ対策のソーシャルディスタンスとして、席と席の間に座れない3席を空けていたからだ。おかげで試写室のような気分で観ることができた。

ずっと観たかった『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』をやっと観ることができたのだ。

わしの友人に、保健所に回されそうになっていた犬をかわいがっている者がいる。
同じように、黒犬のトッドを引き取った夫婦。しかし、鳴き声のためにアパートで飼うことができなくて、農園に移り住む決意をする。
リトル・ファームというから小さなかわいい農園かと思っていたら、東京ドーム17個分もある広さだもんなぁ。大変だぁ。

夫のジョン・チェスターは映像作家で、本作の監督。奥さんのモリー・チェスターは料理家だ。有機農業による料理は腸内の細菌を増やし、身体を助けるという。
『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』はそんなふたりの8年間の奮闘の記録映像なのだ。

自然農法のコンサルタントの教えを受け、荒れ地を最初から…岩肌のような土に水を引き、ミミズを培養して堆肥をつくる。若い人も参加する。そのようにして、再生型の美しい農園に変えていくのだ。

虫と動物と植物。たくさんの生き物が集まる。生命体はその場所に調和していく。そこに自然生態系サイクルのドラマが生み出される。
人間が一番じゃない。自然を支配したり屈服させたりなどできない。自然は人間のボスであり、逆らうことなどできないのだ。それより、自然を愛し、教えを乞うほうがいい。そのほうが喜びも大きい。

なるほど、生態系はこうしてつくられるんだ。こうしてわしらは生きているんだな。
わしらは自然との共存…などと軽々しくいってしまうが、それはこういうことなのだと痛感した。

暴風で作物が被害を受けたり家畜が死んでしまうなど、辛く悲しいことも多い。終わりがない。どこまでやれば農家と名乗っていいのかもわからない。
でも、その苦しさも厳しさも…すべてが生きる喜びにつながっていく。ふたりの笑顔を観るとわかる。
大きな画面で観られてよかった。

https://youtu.be/dgqy_NOW6y0

子どものころ、田舎ではうちの家だけが有機農業をしていた。田植えを手伝うと、苗を植える手にヒルが吸い付いてくる。怖かった。
よその家は農薬を使うから綺麗な田んぼで…恨めしく思ったものだ。今にして思えば、父親もこの映画のようにしたかったのかな。

わしは今、ひょうたん栽培を手伝っているが、葉にはアブラムシが付く。この映画のように待っていれば…テントウムシが来てくれるのかもしれない。

ベランダや机の上の小さな鉢の植物でも…想いはビッグ・リトル・ファームに通じている。


ロスト・イン・トランスレーションで夢心地もエ~ガね

そうかぁ。これは「不思議の国のアリス」なんだ。今になってこの映画が理解できた気がする。

ソフィア・コッポラ監督の『ロスト・イン・トランスレーション』のことだ。公開当時に観た。でも、女性感覚がピンとこなかったのか…あまり好きではなかった。日本人がステレオタイプだし、何か事件が起こるという映画でもなくて…ちょっとタイクツだった。
監督はフランシス・フォード・コッポラ監督の娘で、父親も総指揮という形で参加している。

今回、DVDで観て少し違う印象を持った。
新妻(スカーレット・ヨハンソン)がカメラマンの夫と東京に来る。夫は仕事で忙しい。妻は取り残される。不思議の国・ニッポン。言葉も通じない。わざとなのか、日本人はLとRの発音を反対にいう。寺に行って坊さんが唄うのを聴いても(読経)ワケわからない。いわば、ロスト・イン・トランスレーションは異文化の中での迷子だろう。

片や、日本のウイスキーのコマーシャル撮影のためにひとりで東京に来た初老の男優(ビル・マーレイ)。倦怠感漂う彼もまた、異文化の中に取り残されている。こんな国はイヤだ。早くアメリカに帰りたい。でも、結婚25年の我が家に居場所はあるのだろうか。
男優と新妻は同じ(新宿の?)ホテルにいて…同病相憐れむという感じで出会い、親しくなっていく。

ビル・マーレイは『ゴーストバスターズ』とかで知られていたが、スカーレット・ヨハンソンのほうは当時、無名に近かったかもしれない。彼女が戸惑いながら渋谷など東京の街を歩く様子は…まるで「不思議の国のアリス」だ。絵になる。

京都での静謐で美しい場面もあったが…ん? 知恩院かな。奈良っぽい感じもする。
それにしても、当時のスカヨハは今とほとんど変わらない印象を持つ。不思議な人だ。

わしだって、ひとりで外国に行ったときは心細かった。いや、日本にいたって居場所がないと感じたりもする。

異国での孤独なふたり。タイトルは、通訳(翻訳?)によって本当の意味を失う…みたいなニュアンスだろうか。
安心できる相手を見つけたふたりの心の交流。女ごころ。初老の男優が彼女に囁いた言葉…。
おそらく、トーキョーでの思い出はいつまでも消えることはないんだろう。互いの姿が残像となっていったに違いない。

https://youtu.be/Q1axTTdgRdo

この映画、東京に来て約1ヵ月で撮影したらしい。見慣れたはずの風景が違って見えるのが不思議。そこが魅力かもね。
新宿なのかな、映画ではあちこちの夜の店が出てくる。思わず、3密だ!アブナイと思ってしまった。

リバー・ランズ・スルー・イットが美しくてエ~ガね

わしには4つ違いの弟がいる。『リバー・ランズ・スルー・イット』を観て…思い出した。
田舎の家の近くに小さな川があった。子ども頃、そこでよく弟と釣りをしたものだ。オイカワという美しい魚を追い求めた。あのせせらぎ。わしらは水の流れのとりこだった。

ロバート・レッドフォード監督の『リバー・ランズ・スルー・イット』は家族の映画だ。タイトルは「そこを通って流れる川」というような意味らしい。
モンタナといってたから、場所はロッキー山脈やグレートプレーンズ草原があるあたりだろう。原作はノーマン・マクリーンの「マクリーンの川」らしい。

そこは自分だけの世界。魂の場所。父の教えでは宗教とフライ・フィッシングの間に境界線はなかったという。父の手ほどきを受けるノーマンとポール。四拍子で糸を投げ入れる。自然界の神のリズムだ。

老いた兄…ノーマンが川で釣りをしながら追想する。父が教会でいったあの言葉。完全に理解することはできない。でも、完全に愛することはできる。思いは溶け合いひとつになり、川は流れる。
牧師だった父のことを思う。母のことを、そして(ブラッド・ピット演じる)弟ポールのことを…。

釣りのシーンが美しい。川が美しい。人生もまた同じように…。

釣り器具のリールが見つからないとき、弟と♪誰かリールを知らぁないかぁ♪と「上海帰りのリル」を唄ったもんだ。
時が過ぎても、わしはこの映画を忘れない。弟とオイカワを求めた子ども時代の思い出とともに…。

https://youtu.be/sgciiMl66ak

『リバー・ランズ・スルー・イット』のナレーションは監督自身が担当している。
余談だが、ロバート・レッドフォード監督は…ブラッド・ピットが若き日の自分に似ていたので彼を選んだんだろうな。

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