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ノクターナル・アニマルズを読むもエ~ガね

なんて後を引く映画だろう。頭から離れない。“夜の獣たち”とサブタイトルの付いた『ノクターナル・アニマルズ』のことをずっと考えている。

美しい。計算しつくされた美…視覚的に伝わってくる。と思ったら、そうか、監督のトム・フォードはファッション・デザイナーなのか。

https://youtu.be/AuNdHjQ3THU

サスペンスだがほとんど予告編で語られているし、ネタばれとか…そういう種類の映画でもないと思うので、深く内容にまで触れてみようと思う。ご容赦ください。


主人公スーザン(エイミー・アダムス)は人から羨まれるセレブ。でも、心は満たされていない。
そんな折、20年前に別れた夫エドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた小説のゲラ刷りが届く。テキサスを舞台にしたその過激な小説のタイトルが「ノクターナル・アニマルズ(夜の獣たち)」なのだ。
最初のページには「スーザンに捧ぐ」の文字が…。

エイミー・アダムス扮するスーザンは目だけで気持ちを表現する。スーザンは思う。別れた夫はなぜ今になって自分に小説を送ってきたのか。まだ愛情が残っているからか。読み始め、その力強い小説に圧倒される。心の奥に秘めた衝動が蘇ってくる。

現実のスーザンは20年前を思い出しながら小説の世界を読み進んでいく。今と昔と小説。今は冷たく昔は温かく、小説は殺伐としている。色調分けされた三つ巴は相乗効果の中で溶け合い、小説の中の主人公トニー(ジェイク・ギレンホール)が過去の夫エドワード(ジェイク・ギレンホール)と重なっていく。

スーザンは思い出す。なぜ、小説を書くのかと聞いたことがあった。彼は物語を生かしておきたいといった。死にゆくものを書くことで救うのだと…。もしかすると、あれから20年かけて彼はこの小説を書き上げたのかもしれない。
執念と情熱。彼にこれほどの才能があったのか。
自分の才能を今ごろ知ったかと気づかせるために送ってきたのか…。自分への恨みつらみなのか。仕打ちなのか。未練なのか。復讐なのか。愛なのか。

誰かを愛したら努力しろ。あきらめるな。失くしたら二度と戻らないんだぞ。スーザンは彼からのそんな言葉も思い出す。彼は自分を信じる強さを持っていた。あれから、私の人生は思わぬ方向に変わって、彼の長所までも憎むようになったのだろうか。
スーザン自身、わからない。後悔? ただ…心の闇だけが彼女を包み込む。

わしは『メッセージ』のエイミー・アダムスのファンだし、『ドニー・ダーコ』からのジェイク・ギレンホールのファンでもある。『ノクターナル・アニマルズ』は助演の俳優陣もよかった。
紡ぎ織りなされた『ノクターナル・アニマルズ 夜の獣たち』のことを、わしは今なお…考えている。自分自身にも通じることがあるからだろうか。


答えはない。わからない。観る者が自分なりに考える映画だ。
わしはふと、♪いつの日にか 僕のことを 想い出すがいい♪と唄った来生姉弟の「夢の途中」を思い出した。一般的には薬師丸が唄った「セーラー服と機関銃」のほうが知られてるかな。


マジカルガールでSA-RA SA-RAになるもエ~ガね

仲間とポップカルチャーがらみの話をしていたら『マジカル・ガール』につながった。フランス…いや、スペイン映画かな。予備知識なしでウトウトしながらDVDを観ていたらよくわからなかったので…観直した。不思議な映画だ。分類が難しい。

https://youtu.be/owmCUm4lNFU

驚いた。冒頭、日本のアニメソングみたいなのが流れた。とても新鮮。調べたら…長山洋子の「春はSA-RA SA-RA」だった。

白血病の娘が日本アニメのファンで、父親は娘の願いを叶えてやりたいと思う。この親子の話かと思ったら、まったく別の…元女子生徒と元教師のほうにつながる。父親がラジオで娘の声を聴いていたら感動の物語になっていた? 
人生はおもしろい。パズルのように、ちょっとしたつながりで別のものになっていく…。

こっちがメインだったりする元女子生徒バルバラと元教師、何だか…昔観たフランス映画『白い婚礼』を思い出した。場面にはないが、教師はあんなふうに女子生徒に翻ろうされて今があるだんだろう。

『マジカル・ガール』は場面場面のつながりがおもしろい。実際にジグソーパズルも出てくるが、話がバラバラなようで…全体が予期しないほうにつながっていく。フィルムノワール? 見せないシーンはまったく見せない。
難解ではないが、余白で魅せる映画。そこがおもしろい。映画のラストはムナシイけれど…。

カメラワークもおもしろい。ヒキが少なく、フレームが固定されている。登場人物が路上で何かを拾っても手元がフレーム外で見えなかったりする。見せないモノはまったく見せない。マジックのように…。
フレーミングにマンガのコマを感じたのだが、監督はもともとマンガ家だったらしい。納得。

カルロス・ベルムト監督はかなりの日本通のようで、日本アニメが大好きなんだろう。日本的モチーフとして美輪明宏がらみの黒トカゲのドアマークも出てきたりした。検索サイトの“RAMPO”は江戸川乱歩かも…。興味深い。

「魔法少女ものじゃないじゃないか」と憤慨した観客がいたという。了見の狭さに笑ってしまう。
とはいっても、わしにとって印象深かったのは「春はSA-RA SA-RA」で、カラオケで唄ってみたら…唄えた。不思議だ(笑)。

レディ・プレイヤー1に呆れるもエ~ガね

スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』を観た。オタクの祭典!? ゲームと映画の融合? すごかった。呆れた。呆れるほどにすごかった。

https://youtu.be/BlTCXShunpI

30年ほど先の未来。ある意味、現実以上になったバーチャルリアリティの世界を描く。その世界が“オアシス”だ。
キャメロン監督の『アバター』とは少し違うが、『レディ・プレイヤー1』でも主人公たちは現実とバーチャルの世界を行ったりきたりする。ゴーグルひとつで…。
同種といえる映画には『エンダーのゲーム』もあったかな。

『レディ・プレイヤー1』の原作は「自分の好きな1980年代のポップカルチャーをすべて入れたかった」というアーネスト・クラインの「ゲームウォーズ」。
だから、当時のポップカルチャーが絡む。スピルバーグ監督好みのも絡む。まばたきしている暇がない。ポップカルチャーへの謳歌。オマージュやパロディや知的財産がてんこ盛りであふれ出す。

キューブリック監督の『シャイニング』が出てきたときには思わずニンマリ。原作者のスティーヴン・キングは映画が気に入ってなかったとか、そういうオタク知識超満載。
『アイアン・ジャイアント』が出てきたのもうれしかったな。ガレージの中やあれもこれも…。

わしだって結構詳しいほうだと思うが、多分…半分くらいしか認識できなかった。一瞬通りすぎた今のはもしかして…みたいな。あと数回、映画を観るしかない。次は吹き替えで。いや、それでも観逃すだろうから、DVDを買って静止しながら確認するしかない。
いやはや、スピルバーグ監督は…何てすごい映画をつくったんだ。呆れてしまう。

思い起こせば、わしはスティーブン・スピルバーグ監督のデビュー作からリアルタイムで観てきた。彼が25歳でつくった『激突』はもともとテレビ映画だから公開時に観たかは微妙だが、とにかくほとんどすべての作品をリアルタイムで観ている。

熱心に観つづけてきたのは、単に好みというだけではなく、彼が黒澤明監督の弟子を自認してたことも大きいかもしれない。
黒澤映画といえば、ひとりのキャラのアバターは鎧武者姿の三船敏郎じゃないか。と、こんなふうに書き出すとキリがない。あのキャラもこのキャラも…。

“オアシス”のバーチャルリアリティの世界はホントにすごいが、スピルバーグ監督はアナログ時代の人だから現実世界も描き、そこに落とし込んでくれる。バーチャル世界に逃げてるだけじゃダメだよ、といってる気がする。だから、すごくおもしろかったというだけでなく、わしはそこにすごく安心感を持った。そこが好みの分かれるところかもしれないけど…。

それにしても、映画という表現はすごいところに来てしまったもんだ。
表現技術が変われば当然、内容も変わる。昔は映像から想像することを求められた。今は受け止めることを求められる。多分、昔の映画のような感動を求めてはいけないのだ。

360度画面に飛び交うホログラム登場人物。家に帰れば、人間の知能を超えたAIのホログラム奥さん。そんな日も近いかもね。わしらはすごい…おもしろい時代に生きているようだ。

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