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ゴースト・イン・ザ・シェルに魂を感じるもエ~ガね

なぜ、バグが混入したか。バグは偶然生まれるものじゃない。何かを伝えるために現れたのだ。
それが義体化ならば…なおさらだろう。過去の記憶からの問いかけかもしれない。

https://youtu.be/tUBxWislVEc

『ゴースト・イン・ザ・シェル』を観た。キモいほどの圧倒的な世界観。
人と機械が融合していく未来。サイバーテロに立ち向かう公安9課。攻殻機動隊。
原作の「攻殻機動隊」は30年くらい前に読んだ。アニメも観た(長くなるのでこのあたりは省略)。それがハリウッド映画として蘇ったことを喜びたい。

ゴースト・イン・ザ・シェルというときのゴーストとは幽霊のことじゃない。生身の脳の記憶のこと。
義体とは…義手とか義足とかいう意味の義体。つまり、シェルだ。かつて、『ロボコップ』という映画があったがそれと同じ。でも、ロボットじゃない。生身の脳がある限り、主人公の“少佐”はサイボーグなのだ。

主演のスカーレット・ヨハンセン(以下、スカヨハ)にとっては挑戦だっただろう。体は身体能力が高い。脳以外は自分の体じゃないというのを演じなければならない。それを意識して演じているのを感じた。リアリティがある。それを体感する映画だろう。

スカヨハはほとんどデビューのころから観ていると思う。『真珠の耳飾りの少女』が印象に残っている。それがいつのまにかアクション女優になっていった。CGやスタントチームがいるとはいえ、基本的には本人が演じなければならない。
全身シリコンのスーツは美しい。なぜ、日本人じゃないのかという声もあるようだが…ともかく、彼女を主役にできたというのは快挙だろう。“スカヨハ攻殻”の誕生だ。

人の価値は何によって決まるのか。記憶なのか。行動なのか。与えられた人生なのか。選び取る人生なのか。
かつて、「アトム」が悩んでいたように、これはアイデンティティを模索する…葛藤の物語だ。

ビートたけしだけが日本語というのに妙な違和感があった。でも、多文化がごちゃ混ぜになった世界。テレパシー的な機能もあるんだろうから気にしなくてもいいのかもしれない。

美術がすごい。異様なほどだ。街並みの撮影ベースは香港だと思うが、仕上がったレトロ風な未来風景には圧倒される。キモいと感じたが、それは決してマイナスの意味じゃない。
観終えて歌舞伎町のネオン街を歩いていたら、スクリーンの中に入ったようなクラクラした気分に襲われた…。

監督は『スノーホワイト』のルパート・サンダース。イギリス人だ。そのせいか、ハリウッド映画とはいってもどこかヨーロッパのテイストもある。なるほど、“少佐”は心に闇を抱えて闇と戦う“白雪姫”とも通じるのかもしれない。
今回の『ゴースト・イン・ザ・シェル』を観て、『ブレードランナー』を思い出したりもした。当然、その系列の映画だろう。
今日の医療やテクノロジーにも通じ、結局は「人間とは何か」を問いかける。

どこか懐かしくもあり、深く重く…昔の学生運動の場面が頭をかすめた。
バグとは…もしかすると孤独な魂の叫びなのかもしれない。


クリーピー 偽りの隣人に恐怖するもエ~ガね

分類でいえばサスペンス・スリラーだろうか。DVDで黒沢清監督の『クリーピー 偽りの隣人』を観た。よくわからないという気持ちも含めて…怖い映画だった。

https://youtu.be/9ptHoQmkcYI

クリーピーとは…ぞっとするみたいな意味らしい。
恐怖は近くに存在する。隣人は奇妙で不気味だ。演ずる香川照之は、善人も悪人も演じた緒形拳に匹敵するすごい役者だと思う。

犯罪者には、秩序型と無秩序型とよくわからない混合型とある…みたいな説明があった。それを説明する主人公が、実は犯人側の人間…かもしれない。主人公自身が混合型なのかもしれない。
隣人とは隣の家の人だけでなく、傍にいる人も含まれるかもしれない。

主人公の犯罪心理学者を演じる西島秀俊はどこか普通じゃない。彼の妻役の竹内結子にしても奇妙だ。どうしてそうなる? 特にわからなかった。 
ひとり生き残った役の…川口春菜だけがマトモかもしれない。

もっとも、何が普通で何が普通じゃないか、何がマトモかそうじゃないかなんて誰にもわからない。誰にもいえない。だから…怖い。

原作は前川裕の「クリーピー」だが、おそらく外枠だけを借りてきて別物の映画にしているんだろう。
黒沢監督の映画は怖い。説明してくれない。どこか感覚的だ。観る側が考えるしかない。しかし、そもそもわしらは日常の中で、ちゃんと考えて明確に行動していることが少ないような気もする。あいまいなことが多いかもしれない。
『CURE』もそうだったが、黒沢清監督の映画そのものがよくわからない混合型なのかもしれない。多分、そこが魅力なのだ。


ダンサー・イン・ザ・ダークに衝撃を受けるもエ~ガね

1週間かけて、DVDで少しずつ『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を観た。
いつまでも終わってほしくないという思いで、大切なホームビデオを観るように…。途中でやめれば映画は終わらないとも考えた。後半は…観るのが辛くなってきて少しずつ観た。
そして、ついに最後まで観てしまった。

衝撃的なラスト…! 生涯、忘れることはできないだろう。

https://youtu.be/NQ6HozU5TGo

主演はビョーク。子どもだか大人だかわからない顔立ちをしているが、ビョークがいなければこの映画は成り立たなかっただろうと思う。心の歌声が心に沁みる。
ラース・フォン・トリファー監督による2000年のデンマーク映画だ。

アメリカの田舎町。ビョーク扮するセルマはヨーロッパからの移民。彼女には天性の疾患がある。やがてはひとり息子にも…。そのためにセルマは必死で働いている。
映画は…監督はそんな彼女に試練を与える。どうしてそこまでサディスティックに…。

ときどき、セルマの夢想という形でミュージカルが入る。そういう意味ではミュージカル映画かもしれない。

神も仏もいないのか。無垢な魂ゆえにこれほどの試練を受けねばならないのか。
ラストは…セルマの最初で最後の舞台だろうか。空想と現実の反転。それは美しい。でも、怖い。体調に異変をきたすほどに…。実際、少し気分がわるくなった。

何という過酷な映画だ。2度と観たくはない。でも、好きか嫌いかといわれれば好きな映画だ。
人間の残酷さの向こうにあるピュアなもの(?)に共感するからかもしれない。
衝撃だった。2度観なくても…生涯、忘れることはないだろう。


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