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ロスト・チルドレンがわからなくてもエ~ガね

ずっと前に観て…よくわからなかった。今回、もう一度観たが…やっぱりまだわからない。
でも、わしの大好きな分野の映画であることは間違いない。それが『ロスト・チルドレン』だ。ジャン・ピエール・ジュネとマルク・キャロによる1995年のファンタジー作品。

https://youtu.be/isw0tAJcvyo

幻想的な雰囲気がすばらしい。テリー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』みたい。
さびれた港町。怪力男のワン(ロン・バールマン)の弟が一つ目族にさらわれる。子どもスリ団のミエット(ジュディト・ヴィッチ)とともに弟を取り返しに行く。博士やその6人のクローン(ドミニク・ビノン)とかも出てくる。奇妙な映画だった。なぜか、フェリーニの『道』を思い出したりもした。

博士の「無と無限はつながっているんだ」とかってセリフもあったと思うが、そこのあたりが結局…よくわからなかった。哲学的な深いものがベースにある気はする。

おかげでヘンな夢を見た。石垣のある山の木の上に、わしは秘密の仕事部屋を持っている。そこはフランスの怪しげな路地裏に通じていて、わしは占いだかの店に連れられて行き、そこで昔の知人に出会う…。
わしの夢はどうでもいいが、この『ロスト・チルドレン』も夢が重要な役割をしている。というか、全体が夢のような映画だった。もっとも、ファンタジーとは本来、そういうものなのだろう。

夢といえば『インセプション』もあったなぁ。あれはSFか。ならば、『ロスト・チルドレン』をSFと分類してもおかしくはない。

今ころ東京物語もエ~ガね


まったく恥ずかしい話だけど、今ごろ『東京物語』を観た。1953年の小津安二郎監督作品。
もちろん、断片的には知っていた。でも、ちゃんと観たことがなかったのだ。若いとき、カッタルイ映画と感じて敬遠していたということもある。
どちらかといえば、アメリカ人の友人のほうが評価してたんじゃないかな。もしかすると、小津というネーミングは「オズの魔法使い」にも通じるのかもしれない。

https://youtu.be/LjDWc-lQYnM

尾道の老夫婦(笠智衆と東山千栄子)が東京の子どもたちを訪ねる。親に気を使いながらも自分たちの生活がある子どもたち。そんな中で、戦死した次男の嫁(原節子)だけは老いた両親をねぎらう。基本的にはそんな話だ。皆、それぞれの演技がいい。

海外での評価も高い『東京物語』なので…今さらだが、発見がたくさんあった。
まず、カメラワークがおもしろい。カメラが動かない。まっすぐに真正面から捉える。斜めの構図がほとんどない。
計算されつくした映像。それはまるで、美しい版画か水墨画のようだ。

最近は違うかもしれないが、幼い子どもに「窓の絵を描いて」というと、男の子は家の外から見た窓を描き、女の子は室内の(カーテンなどのある)窓を描くという話を聞いたことがある。
この映画でも多くが室内から表現されている。女性的ということだろうか。
外観がなく、画面いっぱいに東京の家の室内が映し出され、ドアが開いて外から老いた両親が入ってくる…それが到着の表現、という具合だ。
そういえば、旧ソビエトの映画もこういう表現が多かった。どちらが先だろう。

ところが、終盤は外の映像が多くなる印象を受ける。ラストで唱歌が流れる。それを聴いて、大好きな黒澤映画の『野良犬』を思い出した。それが1949年の作品だから、『東京物語』の数年前。黒澤映画の『生きる』が1952年だった。
静の小津作品と動の黒澤作品。映画のタイプはまったく違うが、小津監督と黒澤監督は影響し合っていたのかもしれない。

とにかく、『東京物語』に限らず、小津作品では特別な大事件は起こらないし、スーパー主人公が出るわけじゃない。どこまでもフツーの人たちを淡々とフツーに捉える。でも、現代ではもう…そんなフツーが存在しない。マンガの「サザエさん」のような家庭はどこにもないのと同じように…。

若いときは地味でカッタルイ映画と思ったものだが、今観るとしみじみと味わい深く…新鮮だったりもするのだ。たとえば、是枝監督の『海街diary』なども…小津センスなのかもしれない。


草原の実験に抗議するもエ~ガね

以前、西荻の居酒屋で、若い奥さんから映画を推薦された。でも、タイトルも何もかも忘れた…。上映後に、観客がスクリーンに駆け寄り抗議の絶叫をしたらしい。そういうことだけを覚えていた。

それを偶然、レンタル屋で見つけた。『草原の実験』という。アレクサンドロ・コットの監督作品。これに違いない。草原…というのだけは何となく覚えていた。

https://youtu.be/t4PaTR2VmL8

舞台はロシアだと思うが、モンゴル平原のようなところの一軒家で、屈強な父親とふたりでつつましく暮らしている少女。おそらく、その草原の村から出たこともないのだろう。その娘の清々しさ…美しさに誘われて観た。いつまでもセリフがない。セリフのない映画だったのだ。でも、草原を渡るそよ風の音やせせらぎや鳥たちの囀りは聴こえる。のどかな映像詩だ。
タルコフスキーの映画を思い出したりもした。

村のどこかに馬に乗った幼馴染がいる。いつしか、青い目の青年も加わる。やがて、“実験”へ…。
予告編以上のことは書かないでおこう。質朴な美少女に魅せられつつ観て、ラストは衝撃を受けた。セリフがない分、伝わってくるものが大きかった。

今は、スクリーンに駆け寄り絶叫した観客の気持ちがよくわかる。



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