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怒りの葡萄を味わうもエ〜ガね

アメリカ人の友人が「私の家族は…お爺ちゃんがイギリスからアメリカに渡って来たんだ」といったので驚いたことがある。今さらながら、アメリカという国の歴史の浅さ…というか、国としての若さに驚いたものだ。
アメリカ人は自分たちで自分たちの国をつくった。そういう意識が強いように思う。

ジョン・フォード監督の『怒りの葡萄』を観た。1940年の作品。主演は若い頃のヘンリー・フォンダ(あの俳優一族のフォンダ家)。母親役がジェーン・ダーウェルという。情けないことに…観たことがなかった。

力強い。ドキュメンタリーみたい。アメリカのイメージが一新する。
原作はジョン・スタインベックで、「怒りの葡萄」は1939年に発表されたらしい。おそらく、原作はもっと政治色が強いのだろう。なぜか、島崎藤村の「夜明け前」や、かつての学生運動を描いた映画を思い出したりもした。

社会の弱者…。映画は小作農のジュード一家を中心に描かれている。息子のトム(ヘンリー・フォンダ)が刑務所から仮出所してくるところから始まる。トムが実家に戻ると家族がいない。家族は…作物が育たない荒れ地から追われ、新天地といわれるカリフォルニアへ行く準備をしている。

オンボロのトラックに荷物をいっぱい詰め込み、旅立つ。トムが加わって12人。元神父(説教師?)も加わって13人。
キリストと12使徒を思わせる。ほとんどイスラムの民だ。これじゃまるで、砂嵐難民じゃないか。
旅の途中、親切な人もいるが…新天地とは名ばかりで、理不尽な労働条件だったりもする。それでも彼らは逞しく、雑草のように生きようとする。

やがて、怒りの葡萄が実っていく。これは資本主義経済に対する農民の憤りだろうか。
しかし、農民が開拓したために砂塵の荒れ地になったという側面もあるかもしれない。
わしはジョン・フォード監督を西部劇映画の人と思っていた。恥ずかしい。

黒澤監督がジョン・フォード作品の影響を受けたというのは聞いていたが…。
それにしても、この骨太なつくりは黒澤作品を思い出させる。
ジョン・フォード作品を全部観なければなるまい。
温故知新。旧作から得るものは大きい。

https://www.youtube.com/watch?v=QwXU-_r19w4
https://www.youtube.com/watch?v=_VK1a9n-Jqk

玉川上水沿いに、今年も忘れず…桜が咲き出した。自然の力はすごい。これも自然と人間の営みだ。桜の見頃はこれから2週間だろうな。


モロッコに行くもエ〜ガね

電話がかかってくる。仕事の催促だ。その場しのぎの返答をしてから、食料の野菜の中に依頼書類を見つける。わしは誰だか知らないがよく知っている彼女のところへ行く。邪険にする彼女だったが、君の笑顔を見ればがんばって仕事できるというわしの言葉に、わしを抱きしめる。周りの人が見ているので、わしは彼女を抱いて宙に舞う。しかし、高くは飛べず、川のほとりの闇市のようなところに下りる。人々が集まってくるので、スマホのように周りをスライドさせる。周囲はタイムマシンのように時が流れ…地形が変わり、そこは砂漠になる。

…と、こんな夢を見た。夢日記として独立させようかとも思ったが、ここに書こう。
この夢は…DVDで映画『モロッコ』を観たせいなのだ。

http://matome.naver.jp/odai/2135206197586559901

『モロッコ』は1930年のアメリカ映画。大昔の化石のような作品。監督はジョセフ・フォン・スタンバーグ。ベノ・ヴィクニーの原作で、もとは舞台劇だとか。主演はマリーネ・ディートリヒとゲーリー・クーパー。どうやら…これが日本で最初に日本語字幕を付けたトーキー映画らしい。これ以前は弁士が付いたということだろう。

外人部隊のトム(ゲーリー・クーパー)は女たらしで、駐在していたモロッコでアミーという歌手(マリーネ・ディートリヒ)と出会い、恋に落ちる。かつての「ピンキーとキラーズ」のピンキーの衣装は多分、これが参考だったのだろう。
アミーの「もう帰ってよ。好きになってしまいそうだから」というセリフにはドキッとした。とにかく、マリーネ・ディートリヒが妖艶で美しい。と同時に、取り憑かれたような演技がすごい。恋愛に理屈はない。怖いほどで、それを体現している。伝わってくる。

昔の映画はすごい。すごいから残っているんだろうが…。
今の映画は確かにすごいが…この映画のようなすごさがない。と思う。今の映画はカラフルでCGも盛り沢山で派手で確かにおもしろいが…観たら消えていく。最近の…中学生がつくったといわれるVFXに驚嘆したりもするけれど。
ホラーならともかく、夢にまで見るというようなことはない。この映画のようには心の奥底に根付かない。と感じる。

ところで、わしは何も知らないし何の根拠もないので書いていいものかとも思うが、実は…観ていて従軍慰安婦のことが頭をかすめた。わしはあまりに歴史を知らない。
それにしても、1930年にここまでの映画ができていたんだなと…つくづく思う。わしはあまりにも昔の映画を観ていない。『嘆きの天使』さえ観ていない。情けない…。

こうして、わしの映画の源流への旅はつづくのだ。
廉価版のDVDを全部観るしかあるまい。

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