変態村に捕われるもエ〜ガね

昨夜、電車が急に止まった。吉祥寺駅を前にしばらく動かなかった。「線路に人が立ち入ったため」と車内アナウンス。「泥酔客がホームから転落」ならば、まだ様子は浮かぶ。でも、立ち入る…とはどういう状況だろう。

そんな疑問を持ったせいか…夢を見た。わしは田舎の実家に帰るための山道を歩いている。薄暗い夜道を歩きながら、ふと気づく。もう、家はないんだったと…。
やがて、闇市のような場所に辿り着き、そこでは……と夢はつづくが、もうこの話はやめておきましょう。

この夢に近い映画を観たことがある。
タイトルを『変態村』という。忘れられない。頭から離れない。
これまで書くことをためらっていたが、勇気を出して書くことにしましょう。


何年か前、取材のため…わしは友人の車で京都府奥地の神社に向かいました。
ところが、道に迷い山間のへんぴなところに出てしまったのです。行き止まりの一面のススキの原の中に…まるで映画の世界のような奇妙な集落がありました。
そのときの…今までに感じたことのない不思議な印象を、わしは一生忘れることができないでしょう。
この映画とともに…。

http://www.discas.net:80/netdvd/dvd/goodsDetail.do?titleID=0087671528

その昔、ベルギーのファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督による『変態村』をDVDで観ました。 これをどう表現すればいいんでしょうか。

主人公は、ひとりで…車であちこちを回っているハンサムな歌手です。今回も老人ホームへの慰問コンサートに行って、次に向かう南フランスだかに行く途中、その“村”に捕われてしまうのです。

フロントガラスに映る暗い樹木。その異様な…ファンタジー世界へ誘われる感覚がいいですね。ヨーロッパ独特の暗い雰囲気がある(ロシアのタルコフスキーに通じるかも)。そういう雰囲気づくりは見事だし、そういうところはわしの好みでもあります。

この映画と似ているかもと感じたのがヒチコック監督の『サイコ』でした。『サイコ』は見事な映画でしたが、サスペンスゆえに内容に触れることはできません。ともかく『変態村』は、あの映画に土着性をどっぷりとまぶしたような趣きでした。

肝心の内容は…おぞましい。分類的にはホラーだと思いますが、あまり語りたくありませんね。もしも…自分がそういう目に遭ったとしたら、おそらく誰にもいわないでしょう。秘密は墓場まで持って行く…。そういう映画です。

ただ、いろいろと深読みをしてしまいました。
『変態村』とは何ともすごいタイトルですが、「狂人村」ってわけにもいかないからこのタイトルにしたのかもしれません。と思ったら、原題は『CALVAIRE』でした。「キリストの受難」というような意味だそうです。
わしは…昆虫などの“変態”を思い浮かべたりもしました。

渇望する愛と孤独が、人をあそこまで狂気に走らせるんだろうか。つまり、極限の…狂気の愛の映画なんだろうか。奥地に残ったキリスト教的なタブーによって、そういう偏向した村人を生み出したんだろうか。
磔の姿は犠牲者ってことだけではなく、もしかしたら、一種の宗教による弊害…そういう人間の怖さを伝えようとしているんだろうか…。
この“狂気の村”を描いた作品は単に暗いホラーではなく、根底には…深く重いドロドロした“塊”があるような気がします。

この映画をボロクソにいう人もいます。でも、雰囲気とか異様さという点では決して…わしは嫌いな映画ではありません。
ただし、これを観るにはかなりの覚悟が必要かもしれませんけどね。



この時期、『変態男』という脚本・監督/ヴィンセント・ラノで、主演/カルロ・フェランテによる映画もありました。『変態村』につづくユーロ・スリラー弟2弾ということだったのでしょう。これまたすごいタイトルですが、『変態男』というよりは「ヘンな男」ってところでしょうか。
『変態村』と同じく、タイトルと内容が合っていません。このタイトルで、得をしたか損をしたか。どうですかねぇ。


余談です。以前、諸星大二郎のマンガを原作にして『奇談』という映画がつくられました。そこに、この『変態村』くらいの異様さとか土着性があればもっと評価されたでしょうね。
それこそ、今村昌平監督の作品みたいに…。


不思議惑星キン・ザ・ザに飛ばされるもエ〜ガね

わしは美容院に行ってる。男が美容院なんて…と思っていたが、もう20年以上も行ってる。そこの若い女性美容師とお薦め映画の情報交換をしました。『バーレスク』といわれたので、わしは『ダンス・レボリューション』と応えました。
さらに、「笑える映画はないか」と聞かれたので、観てもいないのに『日々ロック』と応えてしまった(笑)。

ク〜ッ。笑えるヘンな映画なら『不思議惑星キン・ザ・ザ』があったのだが…。
この映画をお薦めしても…喜んでもらえる自信がない。
というわけで、ここに書いておこう。キュ〜ッ。

http://www.youtube.com/watch?v=KC9NCT3b-iA

原題は確か『キン・ザ・ザ』で、旧ソビエトの1986年発表のSFであって、実はコメディ(!)なのです。ゲオルギー・ダネリアの監督作品で、脚本がレヴァン・ガブリアゼ。わしが今までに観た映画の中でも特にふしぎでおもしろくて…ヘンな映画ですね。こういう映画こそをカルトムービーというのでしょう。

ふたりの男がキン・ザ・ザ星雲の惑星に飛ばされる。そこにはふたつの種族がいて、「クー」とか「キュー」という話し言葉を使っている。そこではカツェと呼ばれるある物(ひ・み・つ!)に価値があり、それは実質的にお金として扱われる。と書いても、何のことかサッパリわからないでしょう?

そうなんです。この映画のふしぎさ、おもしろさは観た人にしかわからないのです。

ソビエト社会が反映されているのか…検閲を逃れるための寓意的表現なのか、日本人としてはちょっとわかりにくい点もあるのですが、わしは…こんなユニークなSF映画を他に知りません。こんなヘンな映画、初めて観ました。

果たして、この『不思議惑星キン・ザ・ザ』を観た人が何人いるでしょうか。

柳生一族の陰謀を夢見るもエ〜ガね

こうしてウダウダ書いてみると…SFと時代劇が多いですな。両方とも、わしにとってファンタジーなのかもしれません。

http://www.youtube.com/watch?v=y5YSw7TRGdk

今回は深作欣二監督の『柳生一族の陰謀』です。大昔、30年以上前に映画館で観ました。
二代将軍徳川秀忠が急死し、それを長男が継ぐか次男が継ぐかという話で、そこに柳生但馬守の野望が絡む…。
主演/萬屋錦之介。但馬守に扮する錦之介の圧倒的な存在感はただ事じゃない。時代劇らしいいいまわし。歌舞伎畑の人はなぜにこうもうまいのか。ホレボレしますな。もういないですよね。こういう役者は…。
この映画、萬屋錦之介を観るだけでも価値がありますぞ。

柳生但馬守の子の十兵衛に扮するのが千葉真一で、もともとは彼の「裏柳生」という企画がこの映画の発端だったようです。カッコいいですな。
徳川秀忠の長男家光に松方弘樹。その弟忠長に西郷輝彦。徳川御三家の尾張大納言に三船敏郎。
他に著名な俳優がいっぱいで、柳生に身を寄せる根来衆の中には…当時新人の真田広之がいました。同じ根来衆には…例の斬られ役一筋の福本清三もいて、いつも黙って斬られてる彼にセリフがあって驚きましたな。
女性陣としては、十兵衛の妹の茜に志保美悦子。出雲のお國に大原麗子など。

それにしても、何ておもしろい映画でしょう。ムチャな話だけど、ロマンにあふれています。伝奇ロマンですな。おもしろすぎる。深作監督の初めての時代劇がこの『柳生一族の陰謀』だそうですが、実に見事な娯楽大作でござった。



跡目争いという点では『柳生一族の陰謀』と似たような話で、降旗康男監督の『激突 将軍家光の乱心』もありましたな。主演/緒形拳。対立するのが千葉真一(アクション監督兼)ですな。
これらは『十三人の刺客』(リメイク版)にも影響を与えているような気がします。
もちろん、その源流には黒澤映画もあるんでしょうけどね。

こういうチャンバラ映画は女性が観てもおもしろいんでしょうか。
女性の間で歴史上の武将のファンが増えているそうですが、男性の歴史小説や時代劇のファンとは根本的に違うような気もします。気がするとしかいえないのですが、どうなんでしょうね。

わしは時代劇が大好きでござる。きっと、ロマンが好きなんでしょうな。
城巡りや史跡巡りとかも好きです。旅が好きで柳生の里にも行ったことがある。川べりにかわいい磨崖仏があったのが印象に残ってます。
神仏習合への探求もあり、かつて…奈良の遺跡巡りをしました。その場に立って、悠久の…過去の滅び去ったものに思いを馳せるとき、わしのこの思いも自分だけのものではないというのか…何だか満ち足りた気持ちになったものです。

時代劇の魅力は滅びの魅力かもしれない。そして、滅びこそ最大のロマンではないかとさえ思えるのです。
生物学的にも、メスが産むのに対して、オスは役割を終えると滅びてゆく。
男性で時代劇ファンが多いというのも、もしかすると滅びゆくものに対して…オスとして本能的にロマンとか美学を感じるからではないでしょうか。だからこそ、桜の花のように…消えゆく森羅万象に心動かされるのかもしれない。

街を崩壊させていく怪獣映画に夢中になるのも、多くは男性でしょう。『大魔神』というすばらしい特撮時代劇もありましたなぁ。



それにしても、時代劇を演じられる役者が少なくなったと感じます。
セリフはもちろん、主演俳優の発声そのものが…もう現代人そのままですな。電車の中や渋谷の街並で聴こえてくる話し声とほとんどかわらない。声だけで聴いているかぎり、とても時代劇とは思えないほどです。

メル・ギブソンが『パッション』というイエス・キリストの伝記的な映画をつくっていました。セリフにはその時代の古代アラム語だかラテン語を使ってましたな。

もしも、今の日本人がタイムマシンで戦国時代にでも行ったなら…言葉も違って、コミュニケーションすらできないでしょうねぇ。
まともに古代の言葉遣いでは現代人に理解できない。だからこそ現代の言葉に翻訳する必要があるわけですが、いいんですかねぇこれで…とも思うわけです。


「夢だ。夢だ。夢でござるぅ」というのは『柳生一族の陰謀』での萬屋錦之介のセリフにござるぅ。



禅 ZENで悟りを得るもエ〜ガね


わしは異業種交流会に入っているのですが、あまり出席していません。最近、新会員が加わり、その人は映画に関係する仕事をしているとのことだったので…映画の話をしようとイソイソ出かけたのです。

彼は『禅 ZEN』に携わったといってました。おそらく、この映画のことでしょう。
そんなこともあり、かつて観たこの作品を取り上げることにします。
レンタルDVD店で見つけながら、借りて観るまでに1年もかかった作品です。説教くさい映画だろうと思い、敬遠していたのです。

http://www.youtube.com/watch?v=fnWXt-3I1U4
http://www.youtube.com/watch?v=AB--V-De_LM

わしはもともと鎌倉仏教に興味があったんですよ。インドに生まれた仏教が永い歳月をかけて日本に伝来して、法然、親鸞、栄西、道元、一遍、日蓮という6人が開宗した。そんな鎌倉時代にも魅力を感じていました。
とはいっても、わしは無宗教です。比較宗教学とか文化としての宗教を探求することが好きなだけなのです。

『禅 ZEN』は道元の生涯を描く、いわば“説法”映画です。監督/高橋伴明。主演/中村勘太郎。
孤高の道元が座禅修行ののち、圧迫を受けて…越前で永平寺を開く。当然、道元禅師が人々に伝えようとした精神を真面目に描いていて、セリフには四文字熟語とかがいっぱいでした。

興味深いのは「弁道」という言葉。この世のあらゆるものは昔からそのままの姿でそこにあり、隠すことがない…というような説明。

「悟り」というのも、難しいことを習得することではなく、執着を捨ててあるがままを受け入れることだと諭す。考えることをするな、悟ろうとするなという。ただ、摂受するだけだという。そこには「非思量」という言葉さえも出てくる。
春は花、夏ほととぎす、秋は月。冬、雪さえてすずしかりけり。
そういう、当たり前のことを当たり前にそのまま感じ取ればいいのだという。それが「悟り」ならば…それほど簡単でそれほど難しいことはないでしょうね。

『死ぬまでにしたい10のこと』という洋画がありました。もしかすると、あの映画の主人公アンが達した境地もこれだったのかもしれません。
「じゃ、お先に」と遺書に書いて、47歳で亡くなったアニメの今敏監督のことも考えました。

道元禅師はいう。天に道あり。地に道あり。人に道あり。もって安穏なり。
「生」のとき、生よりほかにものはなく、「滅」のとき、滅よりほかにものはなし。
つまり、生も死もあるがまま。…なるほどと思う。 中村勘太郎の熱演もあり、わかったような気持ちになって思わず手を合わせてしまいそうでしたね。

CGを使わねば禅師の精神を表現できなかったのかとか…映画に関しては思うところもあったのです。でも、それ以上にわかりやすくありがたい映画でした。
観るまでに1年かかりましたが、観てよかったです。


余談ですが、“説法”映画といえば、大昔…無理やり連れて行かれて公民館で観た『人間革命』での丹波哲郎の演説が見事でした。丹波哲郎は『砂の器』などで演説調にしゃべる演技が上手でしたが、『人間革命』で開眼したのではないでしょうか。
この映画の権利は宗教団体が持っているので、一般的には観ることができないようで…映画としてよくできていただけに残念ですな。


それはともかく、『禅 ZEN』を観てわしなりに感じ取ったのは「死にがいのある生き方」ということでした。そういう意味で、この作品はわしの心の中で見事にシェイクしたといえるでしょう。

あらゆる映画をあるがままに受け入れる。それがわしの望みです。
異業種交流会の彼とは、こんな話題で語り合ってみたいものです。
本当は会員の方々から、人生を動かした映画について教えていただきたいのです。
でも、世の中の多くの人にとって…映画はそこまでの大きな存在ではないのかもしれませんな。

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