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ミラーマスクにアートを観るもエ〜ガね

渋谷で「だまし絵」を観ました。イメージを遊ぶというのか…イタズラ感のあるアート。目をだますトロンプルイユ、影や鏡によるイメージ、アナモルフォーズやメタモルフォーズ、イリュージョンの数々。その独特の不思議世界をたのしみました。
「いつわり」の中にある「遊び」芸術ですが、これはそのまま映画に通じますよね。

実は友人のお薦めで、ジム・ヘイソン・カンパニー(原作・脚本/ニール・ゲイマン&監督・原作/デイブ・マッキーン)の『ミラーマスク』をDVDで観たのです。いや、正しくは眠くて…途中まで観て、寝たのです。ヘンな夢(別記)を見たのはそのせいでしょう。

http://matome.naver.jp/odai/2136441894038307601
http://www.youtube.com/watch?v=t_InuizXqV4

大丈夫と思いますので、少しだけ映画の内容に触れましょう。
芸術家集団みたいなサーカス団があって、そこの少女のヘレナが…バランスの崩れた異世界に迷い込む。そこでは…光と闇のふたつの国があり、世界が影に飲み込まれようとしている。そのために、ミラーマスクをさがさねばならない…とまぁ、基本的にはそんなお話ですね。

少女のヘレナが絵(スミ1色のマンガチックなイラスト)を描いているのですが、これがユニークで…何とも実にすばらしい! レタリング(文字)もすばらしい。これは誰の作なんでしょう? これだけでもこの映画を観る価値がありますね。わしはそう思いました。

地味でヘンな映画ですが、『ミラーマスク』は見事なアート・シネマでした。その不思議な…夢のようなビジュアルには圧倒されます。
当然ながら、ルイス・キャロルの童話を元にしたヤン・シュヴァンクマイエルの『アリス』を思い出しました。でも…わしは、なぜかそれよりもユーリ・ノルシュテインの芸術アニメの『話の話』に近いものを感じたのです。芸術性が高かったせいでしょう。どう考えても…この映画、映画館よりも美術館で上映するほうが似合ってると思いましたからね(笑)。

「自分が見える窓は鏡だ」というような不思議なセリフがあり、印象に残っています。
芸術家の資質を持った人、忍耐強い人、そして…ちょっとクレィジーな人にこの映画はピッタリではないでしょうか。

DVDラベル=ミラーマスク

蜩の記をいとおしむもエ〜ガね

わしは『蜩の記』の観方を失敗したようです。

http://www.youtube.com/watch?v=aS00mZIHWmo
http://www.youtube.com/watch?v=PvpQQAy-iIs

原作のイントロ部分だけを読んで、映画観賞後に残りの原作を読む。これはわしがよくやる手なのです。ところが、今回は映画を観る時間がなく、葉室麟の原作小説を半分以上も読んでしまった。それによって、映画の観方を失敗してしまったようなのです。

原作では…檀野庄三郎が村に向かうために徒歩で山越えをして、川のほとりに腰かけて一休みするところから始まります。清流。風。餌を取るカワセミ。生きとしけるものの姿が…静かに淡々と力強く、まるで絵を観るかのように描かれていました。
そして彼は、村に幽閉されている戸田秋谷に会い、この地に来ることになった理由…自身の刃傷沙汰を伝えることになるのです。

これをわしだったら…どう映画にするだろうかと考えてしまったのです。不遜ながら、いつもそんな感じで映画を観てしまうわしですが、今回はあまりにもつくり手側に立って映画を観てしまっていました。原作を読みすぎたせいでしょうね。

映画は動的にスタートさせよう。だから、岡田准一扮する檀野庄三郎の刃傷沙汰を最初に持って来よう。そして、彼に任務を与え山越えをさせて…その山を背景に『蜩の記』とタイトルを入れよう。動のあとの静という具合にメリハリをつけて、役所広司扮する戸田秋谷に登場させるのはその後でいい。
などと思っていたら、映画はその通りでした(笑)。

これがいけなかった。調子にのって、最後までそういう視点で映画を観てしまったのです。原作を読んでいない場面までも…同じように観てしまった。ここは原作にはないが映画らしくわかりやすくするためにあえて入れたんだろう…とか(笑)。そういえば、殿と側室というあたりでは藤沢周平の「蝉しぐれ」を思い出したりもしましたね。
結局、原作小説も映画も中途半端になってしまったかもしれません。反省しています。

原作小説と映画では情報量が違います。当然、原作を削ってまとめていくことになる。でも、その反対もあります。原作にはなくて映画になっている場面もある。たとえばそれが、秋谷の娘…掘北真希扮する薫の巫女姿による舞いでしょう。よく似合ってました。

わしは…巫女の舞いの場面で、黒澤映画の『影武者』を思い出しました。やはり、黒澤組の映画だなって思ったのです。そう、この映画は小泉堯史監督を始めとして黒澤監督のお弟子さんたちがメインのスタッフによるものです。そう思わせる場面が多くありましたね。
黒澤監督が生きていたら何といってくれるだろう。そういう思いでつくっているというのを強く感じました。
静かな映画です。生真面目な映画です。丁寧につくられています。役所広司の表情だけの演技もすばらしいですね。

今宵は皆既月食でした。月が欠けて満ちてゆく様に、なぜか人の儚さを感じたネコ爺でした。

家譜編纂と10年後の切腹を命ぜられた戸田秋谷。
いかに生きるかは…いかに死ぬかに通じます。その反対も然り。紙一重でしょう。
原作小説はいかに死ぬかを描いているようでいて、実は…いかに生きるかを描いています。生をいとおしむ…。心が向かう先にある志…。人は心の目指すところに向かって生きている。
映画も同じでしょう。わしはそこが好きです。

LUCY/ルーシーにブッ飛ぶもエ〜ガね

リュック・ベッソン監督の作品に触れておこう。
いずれ『レオン』のことは書きたいが、今回の『LUCY/ルーシー』は『ニキータ』に近い…と思っていた。クールなヒロインという点では確かに近い。主演はスカーレット・ヨハンセン。

http://www.youtube.com/watch?v=u5qF4l74s44
http://www.youtube.com/watch?v=y4qVZkE_AZQ
http://www.youtube.com/watch?v=w1sxbRw0KG0

スカヨハが魅力的だが、これはトンデモ映画といっていいと思う。内容があまりにもブッ飛んでいるからだ。
普段、人間は10%の脳しか使っていないが、これが20%40%60%…と使っていけばどうなるかというお話。脳が覚醒したクールなヒロイン。アクション映画だが、もしかするとSFかもしれない。

最も注目したいのが、わしが敬愛する『2001年宇宙の旅』にリンクしていると感じたところ。いや、これはわしだけの解釈かもしれない。
作品の評価は時代によって変化するものだが、『2001年宇宙の旅』が骨肉となって今の映画に生きている。あるいは、映画の歴史を観るための新しいモノサシとでもいうのか、そんなものを『LUCY/ルーシー』に感じたのだ。

というわけで、これをニュータイプのSFトンデモ映画としておこう。
余談だが、わし自身の手術後の覚醒に期待している。

DVDラベル=LUCY/ルーシー

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ネコ爺ことネコタル爺の高峰 至です。

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