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ホーミィに誘われてモンゴルへ行くもエ〜ガね

普段行くスーパーに、カタカナ2文字の名札を付けた若い男性スタッフがいたんです。ぶしつけで失礼かと思いつつも…どこの国から来たのか聞いてみました。するとモンゴルからだというのです。うれしくなりましたよ。

よくモンゴルへ出かける知り合いがいます。乗馬キャラバンです。向うの草原で馬に乗るらしい。いいよぉと誘われます。わしも…いつか行ってみたいものです。

気に入った映画(DVD)にセルゲイ・ボドロフ監督の『モンゴル』があります。主演は浅野忠信。アカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされた作品で、おそらく、ロシアとモンゴルの合作でしょう。
この作品に魅せられて…しばらく、わしの心はモンゴルの風に乗って大草原を漂っていたものでした。何度も観て魂を揺さぶられ、頭の中で反芻していたのです。

http://www.youtube.com/watch?v=lYNCLS50c5E
http://www.youtube.com/watch?v=iMQYh5WRo9k

『モンゴル』は決して、饒舌な(セリフに頼った)テレビドラマのような映画ではありません。むしろ、寡黙で地味な作品です。しかし、情熱的です。
主人公が何を考えているのかわかりにくいという人もいるかもしれません。
でも、映像としては多くを語ってくれるのです。そこが好きです。どっしりと大地に足が着いているというのか…どこかドキュメンタリータッチで、感情的に伝わってくるものがありました。

『モンゴル』はチンギス・ハーンがまだ、テムジンと呼ばれていた若いころの話で、彼がいかにしてハーン(王)になり得たかを描いています。ただ、血に飢えた人物ではなく、今まで思っていたハーンのイメージとはまったく違った面を見せてくれます。単なる伝記ものではありません。とはいっても、基本的には角川映画の『蒼き狼 地果て海尽きるまで』と同じような話です。観て比べるのも一興でしょう。

たとえば、幽閉されたりという…『モンゴル』には映画ならではの見せ場もあります。広い土地に生きるモンゴル人は狭い牢屋に閉じ込められると生きていけないらしい。それでもテムジンは生き抜く。それを浅野忠信が体現しているのです。堂々たる主役ぶりですよ。彼はどう見ても外見はモンゴル人ですが、れっきとした日本人です。セリフはすべてモンゴル語ですから撮影はさぞかしたいへんだったでしょう。

テムジンのライバルとなるのがジャムカで、『初恋のきた道』で男先生役だった(と思う)中国人俳優が演じています。彼もいい。テムジンとジャムカはまるで、篠田正浩監督の『少年時代』でのふたりの少年のように微妙な関係でした。
テムジンの妻のボルテ役はモンゴルの現役大学生だそうで、いい味を出しています。ここにアイドルっぽい女優を使わなかったのもよかったと思います。

命は大地とともに…。それにしても、向うの人の愛情は大地のように広く大きい。 テムジンとボルテにしても…島国の日本人のようにチマチマしたものじゃない。

兵士役とかでたくさんのモンゴル人が出てきますが、メイキングで観るかぎり、彼らは朴とつとしていていいですね。温かくおおらかです。歌が大好きで、撮影現場ではすぐに大声で唄いだすっていうのもいい(笑)。広いところで育てば、心も広くなるんでしょうか。

歌といえば、冠二郎が唄った「満天の星」というモンゴルをイメージした歌がありましたね。
わしも山での空いっぱいの星は経験がありますが、地平線から星空というのはさぞかし奇麗でしょう。

そういえば、モンゴル民族には“ホーミィ”といってひとりでふたり分の発声法(歌唱法)があります。遊牧の民が「ひとりで広い土地を旅するのはさびしいから」という理由で生まれた発声法だと、民族音楽研究家に教えてもらいました。
そんな…五臓六腑に染みるようなモンゴルの音色も映画に使われていました。

映画の撮影は丸々2年かかっているそうです。丁寧につくってあります。合戦シーンも迫力ありますが、その間にアクション監督が変わったり撮影監督が変わったりといろいろたいへんだったようです。撮影といえば、2年目には『ナイト・ウォッチ』『ディ・ウォッチ』のセルゲイ・トロフィモフも関わっているようですね。
小道具や映画のためにつくられたタングート・タウン(美術)も見事でした。

そういうあたりのことは『メイキング・オブ・モンゴル 浅野忠信 新たな挑戦』で紹介されています。本編のあとで、こちらもご覧になるといいでしょう。

浅野忠信がメイキングの中で「何も持たない者の強さを感じた」と語ってましたが、この言葉には強く感じ入るものがありました。もしかすると、ハーンは物を持たなかったからこそ多くの人々の心を支配できたのかもしれません。もっとも、あれだけ大きな国にいたら…物を持つというのはほとんど意味のないことかもしれませんけどね。

モンゴル人は狼を殺さない。狼を神(テングル)として崇めている。こういうところは日本の先住民族であるアイヌにも通じるかもしれません。人が亡くなると鳥葬ならぬ狼葬をするそうです。つまり、神である狼に肉体を食べてもらうわけです。映画ではいっさい説明はないのですが、テムジンが祈る場所はそういう聖地だったのでしょう。
また、モンゴルの文字は縦書きだという。だとしたら、そういうところは日本人に近いのかもしれません。 おそらく、同じようなDNAなのでしょうね。

歴史にはロマンがある。だから、好きです。
映画『モンゴル』はエキゾチックでありながら…どこか懐かしさもありました。その時代を生き抜いたテムジン=チンギス・ハーンに魅せられたわしですが、いつの日か…草原の国・モンゴルに立って、地平線からのご来光を拝みたいものです。

そこに立てば、チマチマしたことでクヨクヨする自分が恥ずかしくなる。
そんな気がする。心の中に地平線を持ちたいですよね。
強くありたい。強くあらねば…。
テムジンのように…。


http://www.youtube.com/watch?v=LUw4WvxizSs
日本人は相撲以外…モンゴルにはあまり馴染みがないのかもしれません。残念ながら、この映画もあまり知られていないのでしょう。

モンゴルは広大な帝国になる。ロシアに継承されていくわけですもんね。
モンゴル入門映画に『天上草原』というのがあるそうなので、それも探してみようと思っています。

http://www.youtube.com/watch?v=cVjB-aWPaJ4
なお、ここに紹介のクビライとはチンギス・ハーンの孫にあたります。

読んでいただき、おおきに! だんだん! スパシーバ! バイルーラ! マハ!

DVDラベル=モンゴル

ミツバチのささやきに耳をすますもエ〜ガね

わしは井の頭公園までを散歩コースにしています。そこに…ニホンミツバチの巣があります。木の根っこのウロの部分を巣にしているのです。普通のミツバチより小さく、羽音も静かです。
でも、この頃…姿が見えません。引っ越しをしたのでしょう。

以前、『パンズ・ラビリンス』を語るために『ミツバチのささやき』を引き合いに出しました。
そうなんです。この映画がありました。忘れてはならない作品を…まだ書いていませんでしたね。

http://www.youtube.com/watch?v=K8GEIym2GCU

『ミツバチのささやき』は養蜂家家族の日常を描いた1973年のスペイン映画。ビクトル・エリセ監督による…詩的で繊細な映像美あふれる作品です。特に、主演のアナ・トレント(当時、6歳だったと思う)のつぶらな瞳は…取り憑かれるほどかわいい。
アナのリンゴを差し出すポーズを思い出す人も多いのではないでしょうか。

わしは子どものころ、巡回映画によって映画という表現に出会いました。 田舎町や学校の体育館に映画がやって来るのです。それはわしにとって…魔法の世界でしたね。

そして、この『ミツバチのささやき』でも、主人公のアナは村へやって来た巡回映画で映画というものに出会う。モンスター映画の『フランケンシュタイン』です。
この映画は…スペイン内戦でフランコ政権が勝利したことが時代背景にあります。ですから、ここでの『フランケンシュタイン』は単なるモンスター映画ということではなく、おそらく…フランコ政権を意味しているのでしょう。

フランケンシュタインの存在を信じて空想する少女アナ。そこへ、内戦で負傷した……おっと、これ以上はやめておきましょう。
その昔、この映画を観たとき、萩尾望都だったか(違っていたらゴメン)がパンフレットに「通過儀礼」と書いていましたっけね。

すばらしい映画との出会いは…人生の貴重なひととき。人生の宝です。すばらしい映画は心に語りかけてきます。いや、語りかけてくるからこそ…それをすばらしい映画と呼ぶのでしょうね。


同じ監督に『エル・スール』があります(『ミツバチのささやき』から10年後の1983年作品)。
父を失った少女が亡き父を思い…南に旅立つ。重いお話ですが、これも詩的な映像美によるすばらしい映画でした。並木道での自転車を使った時間経過の表現など、特に印象に残っています。

決して言葉(セリフ)に頼らず、詩的な映像センスで語りかけるビクトル・エリセの静謐な作品…。

夕方が逢魔が時ならば、朝は精霊がささやく時間…。
登山で山小屋に宿泊して…翌朝、まだ夜が少し残っている時間にそっと外に出てみる。わしの場合、そのときに感じる何かがエリセの映画から受ける感覚に近いかもしれませんね。

DVDラベル=ミツバチのささやき

フィツカラルドでマラリアにかかるもエ〜ガね

「ネコ爺のウダウダ映画日記」を書くにあたり、わしはひとつのことを決めました。それは…昔観た好きな映画のことを書くということです。嫌いな映画の悪口は書かないということです。

というわけで、わしの大好きな1982年の西ドイツ映画を紹介しておきましょう。

http://www.youtube.com/watch?v=x6B1kvDgT4U

ヴェルナー・ヘルツォーク監督の『フィツカラルド』です。主演は(桑田次郎が描いたマンガの悪役のようなイメージの)クラウス・キンスキー。そう、あのナスターシャ・キンスキーのおとっつぁんです。
映画の内容は…男の“ロマンと狂気”に満ちていて、わしが映画に求める(いや、人生に求めるといっても過言じゃない)すべてがそこにあります。ほんとうに大好きな…わしにとって至福の宝物のような作品です。

同監督には『アギーレ・神の怒り』があります。こっちの映画も“狂気とロマン”に満ちていて、こっちのほうが狂気度が強いですね。監督も主演俳優(クラウス・キンスキー)もみんな…狂気に満ちています。キンスキーの娘のナスターシャも娘役で出ています。すさまじい映画です。
この映画のパロディ(?)として『アギ・鬼神の怒り』という映画も生まれましたよね。

『アギーレ・神の怒り』に比べれば、『フィツカラルド』のほうはロマン度(ロマンスじゃないですよ)が強く、口あたりがいいですね。これぞ、男の夢とロマンでしょう。男にとって、ロマンは不可欠なものかもしれません。

狂気のロマンで…船が山を登ります。そういうことさえ可能にするのです。そこにはオペラがよく似合う。そう、オペラハウスを造るのが夢で…その資金調達のためなのです。全身全霊で立ち向かう。いやぁ…無茶やりまんなぁ。主人公が…というより、撮影そのものがね。
たとえ夢敗れても、帰れば奥さんが笑顔で迎えてくれる。いやぁ…ホントにすばらしい。

わしにはオペラをやってる友人がいます。その人がオペラの魅力について語っていました。「白日夢なのだ」と…。その意味からすれば、この映画そのものが白日夢でしょう。

映画の内容に合わせて…当初、『フィツカラルド』の主役はクラウス・キンスキーではなく別の俳優が演じていたのです。でも、南米の地で実際に山を切り開くというあまりにも過酷な撮影でマラリアだかにかかって…結局、キンスキーに交代したのでした。

わしが好きな監督にスタンリー・キューブリックがいますが、このヘルツォークという監督も…キューブリックに負けないくらいの狂気の持ち主のようです。
でも、“狂気”っていうと何だか恐いイメージがあるけど…言葉をかえれば“極度に熱い情熱”かもしれませんな。

最近、ヘルツォーク監督がある映画の推薦コメントを書いていました。健在だったんですね。よかったぁ。

DVDラベル=フィツカラルド

ドニー・ダーコの迷宮世界もエ〜ガね

今回は昔観た『ドニー・ダーコ』について書きましょう。
分類でいえばSFファンタジーです。15年くらい前のカナダの作品だったように記憶しています。

http://www.youtube.com/watch?v=62kc1glzSlU

現実か幻想かもわからない。その浮遊感みたいなところが好きですね。生きてるか死んでるのかすらもわからない。徹夜明けの気だるさみたいなところも好きです。とにかく、わしは個人的に…何とも不思議なこのヘンな映画が大好きなのです。

脚本・監督はリチャード・ケリー。主演は(今はムキムキマンになっている)ジェイク・ギレンホール。製作総指揮に(あの『E.T.』少女だった)ドリュー・バリモアの名があります。おそらく、彼女が映画マニアのこの企画を知って、制作資金を援助したのでしょう(プロデュースの才能があるみたい)。一応、ドリュー・バリモア本人も学校の先生役でチョコッと出ています。

飛行中の旅客機が落としたエンジンが…主人公ドニー・ダーコの家に落ちてくるところからこの映画は始まります。そのことがあってから主人公は銀色のウサギを見るようになる。幻想か現実か…。

ウサギっていう設定は、(『マトリックス』がそうだったように)ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」から来ているんでしょうね。
「アリス」といえば、ヤン・シュヴァンクマイエルによる毒気のあるシュールな人形アニメ作品がありますが、この『ドニー・ダーコ』にもそういうシュール感があるように思いました。

そして、その銀色ウサギが主人公ドニーに告げる…「28:06:42:12」と…。
もう、これ以上はいえません。オチを書くことはできないというのもありますが、あの雰囲気を文字で表現することは難しい。そういうところが、わしがこの映画を好きな理由でもあるわけです。
暗いし重いし、映画慣れしていない人には…決して薦められない映画ですけどね。わしにとっては忘れられない作品です。

今まで観賞した映画を「ウダウダ日記」としてまとめようと思った背景には、自分で何を観たか…曖昧だからです。記憶を掘り起こして記録しておこうと思ったのです。
2文字でカテゴリー表記していますが、目安でしかありません。ただ、こうして書いてみると…「SF」と「幻想」が増えていきますね。本当はロマンが好きなので、「浪漫」という分類がほしいところです。

DVDラベル=ドニー・ダーコ

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ネコ爺ことネコタル爺の高峰 至です。

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