氷壁の女のショーン・コネリーはエ〜ガね

「アンタが書くのは映画が古すぎる」と知り合いに叱られました(笑)。
新しい映画も書きますからカンニン。ただ、最初の『ゼロ・グラビティ』のところで書いた通り、昔の映画のことを書いていきたいわけです。もちろん、新しいのも書きますけど…新作はストーリーとかにほとんど触れられないので書きにくいのです。

ブログを始めて1ヵ月が経過しました。こんなウダウダ文章を読んでくださってありがとうございます。深く感謝します。
月に5コまでと思っていたのですが、短いのをもうひとつ加えておきます。

ネットで出会った映画ファンの人から「我々には、知られざる名作を伝える使命があるのではないか」といわれたことがあります。自分の価値基準でしか観ることはできませんが、「いいな」と思うものは残していきたいし、そういう働きかけもしていきたい。わしはまだまだ未熟な映画ファンですが、そんな心意気でありたいものです(笑)。
それこそが文化的遺伝子ミームのたまものではないでしょうか。


ショーン・コネリーには『薔薇の名前』とか『インディ・ジョーンズ』3作目のパパ役とかもありますが、作品的には必ずしも恵まれていない気がします。“007”を払拭したかったんでしょうけどねぇ。『氷壁の女』は渋い映画ですが、観た人はどれくらいいるんでしょうねぇ。

『氷壁の女』は昔の地味な小品です。でも、しみじみと好きな作品です。原題は「アルプスの5日間」だか「夏の5日間」だったと記憶します。フレッド・ジンネマンの監督作。主演はわしが最も好きな俳優のショーン・コネリーですが、彼が出ていなかったら公開すらされなかったかもしれないなぁ。

いわゆる山岳映画ですね。ショーン・コネリーと連れの若い女性、そして若い山岳ガイド、メインキャラはそれだけです。
そこに…昔のことが重なってきて、それがショッキングな“氷壁の女”のエピソードにつながるわけです。それは…結婚式前日、花嫁のために山へ何かを採取に行って戻ってこなかった花婿の話。花婿が出現する場面は衝撃的で…特に好きでした。
女性の純粋な愛を今に問う。一言でいえば、山を舞台にした男女の究極の愛の物語ですね。

山の名前とか…そのものは実際にはない山ですが、それ以外はすごくリアルです。よく、派手なアクションをする荒唐無稽な山岳映画がありますが、そういうのとはまったく違います。

日本の北アルプスとかと同じようなスイスアルプスの山小屋がいいですね。そこからの朝の澄んだ冷たい空気。その清々しさまでが画面によく出ていて見事でした。




井上靖の小説に「氷壁」があります。原作では日本の北アルプスが舞台ですが、それをK2に置き換えてNHKテレビの土曜ドラマでやったこともありましたね。そのときの主演のひとりが国会議員となった山本太郎氏でした。

DVDラベル=氷壁の女

セデック・バレで魂が木霊してもエ〜ガね

台湾映画『セデック・バレ』の第一部「太陽旗」と第二部「虹の橋」を観て、感想に窮したものでした。
http://www.youtube.com/watch?v=fwd8Sz8V4rM

1895年(明治28年)から50年に及んだ日本の台湾統治。その時代のことは以前の映画日記の『トロッコ』にも書きました。しかし、この霧社事件のことは知らなかったのです。

統治された側の台湾の原住民族が1930年に武装蜂起した事件。原住民族のセデック族(高砂族の前身)は誇り高き首狩り族で、その中のひとつの集落の頭目モーナ・ルダオが中心となって6つの社(集落)の男たち300人が、運動会の日に抗日暴動虐殺事件を起こした。女性子どもを含む日本人ばかりが狙われ、そのときに殺害された日本人は134人だという。それが霧社事件です。
当然、日本軍の報復反攻があり、蜂起した6つの社の原住民族1000人が死亡したという。

映画のチラシには「かつて誰も味わったことのない獰猛な映像体験」とある。確かに、首が飛ぶシーンなどかなり過激で壮絶です。しかし、戦った相手の首を狩ることは真の男の証でもある。首狩りはこの民族の誇りであり文化なのです。セデック・バレとは真の人という意味なのですから。

国立科学博物館で「グレート・ジャーニー〜人類の旅」というのがあって、そこに干し首が展示されていました。ミイラですが、それだって文化でしょう。

メル・ギブソン監督の『アポカリプト』を思い出したりもしましたね。 残虐性もそうですが、原住民族の言葉を使っている点が似ていると思ったのです。
300人の戦士ってことでいえば、ザック・スタイナーの『300(スリーハンドレッド)』にも通じるかな。

日本からは安藤政信や木村祐一が参加しているものの『セデック・バレ』はまるでドキュメンタリーのようです。実際、セデック族を演じているのは俳優ではなくその血を引く者たちだそうで、主役のモーナ・ルダオを演じたのは神父さんだというから驚きです。頭目になる前の若きモーナ・ルダオを演じている彼もよかった。確か、ダーチンという名でした。
彼らは獣のように野山を走ります。静と動のバランス。その俊敏さは魅力的で、そういう意味では第一部「太陽旗」の躍動感が好きです。まるで、日本の忍者のようですね。
セデック族の血筋ということでビビアン・スーも出ていますが、ほとんどチョイ役なのが残念。名前と顔が知られていると真実味が薄まるということかもしれません。

それにしても、野蛮とはいったい何でしょう。野山を裸足で暮らすことが野蛮なら、「文明を教えてやるからありがたく思え」と押し付けるのは野蛮ではないのでしょうか。
辞書によると野蛮は「文明・文化がおくれていること。教養がなく、粗野で乱暴」とあります。本当にこの定義でいいのだろうかと考えさせられました。

民俗学でいうサンカを思い出しました。昔、日本の山地に住んでいたとされる非定住民。ナゾが多く、サンカは民族なのかもよくわからないのですが興味を持っていました。

和人(日本人)に追われて北へ北へと移って行った日本の原住民族であるアイヌのことを思ったりもしました。アイヌも人という意味ですし、自然の中で自然と共に生きてきた民族ですからね。
「ア、イヌが来た」と和人がアイヌを軽蔑した話が残っていますが、おそらくは台湾でもその類の蔑みがあったでしょう。いわゆる、民族間のイジメですよね。イジメる側は軽い気持ちでもイジメられた側は殺意を持つってこと、ありますよね。

『セデック・バレ』の監督は『海角七号/君想う、国境の南』のウェイ・ダーション。プロダクションデザインが日本の種田陽平。そして、プロデューサーにジョン・ウーという超大作です。
台湾映画で、かつてこれほどまでの規模の作品はなかったでしょう。CGに関しては今ひとつと感じたところもありましたけどね。

日清戦争で清が敗れて、日本が台湾を統治するようになって35年も経ってからセデック族が武装蜂起したわけですが、そのことに対して、ウェイ・ダーション監督が「セデック族は狩猟民族なので、35年間チャンスを待っていたのではないか」と応えていたのが印象に残りました。

自身のアイデンティティを問われる映画でしたね。わしは日本人だから、それを強く意識しないわけにはいかなかった。
しかし、日本を特に悪く描いている反日映画とは思いません。どこでも似たようなことはあったでしょうし、むしろ、気を使ってくれてますね。日本にも台湾の原住民族に対しても配慮が感じられました。
もしかすると、安藤政信扮する誠実な警官には後半で、もっと怒りを爆発させたかったかもしれない。日本への遠慮みたいなものも感じました。それとも、根底には日本への信頼があるのでしょうか。

最終的には辛い映画でした。日本側が追いつめたんだと思うからなおさら。
セデック族の死を美化しているのは日本人の罪の意識を薄めるためかもしれない。と、そんなことさえ思ってしまいました。

身内を殺された日本人の気持ちも、セデック族のふたつの民族の間で揺れ動くの若者の気持ちも、死んで行く家族に「死なないで」とすがる気持ちも痛いほどわかる。民族の誇りのために、殺して滅んでいく気持ちもわからないではない。
「どんなにがんばっても日本人は自分たちを認めてはくれない。どうせ屈辱的に滅ぶならば、文明に屈服するのではなく、自分たちが滅んでもいいから立ち上がろう」という気持ち。まさに、「荒ぶる魂が木霊する」って表現がピッタリですね。

ただ、第二部「虹の橋」での女性たちが死を選ぶ場面では沖縄での玉砕を思い浮かべたし、「男は誇りで死ねるからいい」といってるようにも感じました。「死んで虹の橋を渡ろう」というのは「死んで靖国神社で会おう」にも似て、気持ちがつぶれそうでした。

わしは誰に対しても深くは感情移入できなかった。淡々とした気持ちで観ました。感情移入できたとしたら美しい自然に対してでしょうね。山の色も川の色も昨日につづく今日。青々とした樹木や清い渓流は人間たちの凄惨な営みを知ってるんだなぁと。

この首狩り族のことはわしの心から消えることはないでしょう。
「モーナ」と呼びかける大地の声とともに。
http://www.youtube.com/watch?v=OVDqI-STFRg
http://www.youtube.com/watch?v=F38urUZHuz0

DVDラベル=セデック・バレ 第一部 太陽旗
DVDラベル=セデック・バレ 第二部 虹の橋

トロッコに乗って知らない世界へ行くもエ〜ガね

わしは子どもの頃、トロッコに憧れました。奥深い山道につくられた木材運び出しのためのトロッコ。まるで、電車のおもちゃみたいなトロッコ。それに乗れば今まで知らなかった世界へ行けるような…そんなワクワクした気持ちになったものでした。

トロッコって何語かご存じですか? 実は日本語だという説があるのです。トロというネコを乗せていた“トロ号”から来ているという説です。かわいいですよね。

レンタル屋の棚の隅に、誰にも借りてもらえず忘れられたように置かれていた1枚のDVD。それが『トロッコ』でした。ジャケットには「芥川龍之介の短編小説をモチーフにしてつくられた映画」と書かれていたんです。

芥川龍之介の短編「トロッコ」には、子どもの頃にトロッコに乗ったときの高揚感や、行きはよいよい帰りは怖い的な様子が書かれています。そのときの自分を大人になっても思い出す。道はあの頃とつながっている…と。

『トロッコ』を観ました。原作小説での神奈川県から、映画では台湾の花蓮県に舞台が替わっていました。
若い母親の久美子がふたりの男の子を連れて、急死した夫の故郷である台湾に行くところから映画は始まります。両親に夫の遺骨を届けるために…。
久美子役はNHK朝ドラの尾野真千子。監督はこれが初監督作となる川口浩史(今はどうしているのかな)。
あとはすべて、緑がいっぱいの台湾での撮影です。初めての台湾。小学生兄弟の敦と凱の戸惑い。初めて会うお爺ちゃんとお婆ちゃん。その土地での人々。そして、そこに今も残っていたトロッコ…。ドキュメンタリーみたいですね。まるで、懐かしい昔の日本のような風景です。

最初、川口監督は芥川龍之介の「トロッコ」をモチーフにして短編映画をつくろうとしたんでしょう。そうしたら、台湾は花蓮の山中に撮影できるトロッコがあるという。そんなわけで、いろいろ肉付けして『トロッコ』はこういう…国をまたいでの家族の話になったんでしょうね。

子どもたちを預かって映画をつくったという点では、小栗康平の『泥の河』を思い出したりもしました。


わしは台湾のことを詳しく知らなかったんです。日本の植民地統治は50年もつづいたんですね。
そして、日本は戦争に負けて…台湾を見捨てた。国としてはそうせざるを得なかったでしょう。しかし、それに対して、台湾の人たちの心に「日本が好きなのに…いっしょに戦ったのに何もしてくれない」という愛憎が生まれたんでしょう。

日本が台湾を統治していた間…つまり日本時代、社会的秩序は安定していたようです。当時の人がその頃を記憶していて…孫たちにも「日本はすばらしい国だ」と語り伝えた。当然、日本製品も多く使われたでしょうしね。
現在、台湾の多くの若者たちが日本を好きでいてくれるのはそういうベースがあるからなんですね。

その頃を描いた『セデック・バレ』 という台湾映画があります。その映画のことは改めて取り上げましょう。

戦後、台湾は中国に返還されたわけです。
台湾の人たちが本国である中国を嫌うのはどうしてか。中国は…台湾の抵抗した民衆を武力で鎮圧した歴史があるんですね。
中国の内戦によって…毛沢東に敗れた蒋介石は、逃れた先の台湾で高圧的な統治を行なった。それは日本が統治していたころの安定したものとは違っていたんでしょう。

愛憎が入り交じった根深い歴史ですが、それを通り越して…国も民族も通り越して、真心で向き合いたい。そうしていつか、だんだんと家族になっていくんですね。

友好的な感情は大切…。その気持ちを大切にしよう。『トロッコ』からはそういう思いが伝わってきたんです。
でも、映画にはそういう歴史はほとんど出てきません。寡黙だし、淡々としています。ただ、敦と凱のお爺ちゃんの顔を観ていると…たどたどしい日本語を聴いていると…それだけで伝わってくるのです。
うまくいえませんが、『トロッコ』はそういう映画でしたね。

とはいっても、おそらく誰も観てないでしょうけど(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=fqD-pBGANN8


こういうのもあります。 心に染みますね。
世界の中の日本。アジアの中の日本。
恥ずかしくない国でありたい。
誇れる国でありたい。
http://www.youtube.com/watch?v=l7y34x-BVP8&feature=related


DVDラベル=トロッコ

山を思い出すもエ〜ガね

海、川とつづけば、次は山でしょう(笑)。
スペンサー・トレーシーの『山』を思い出しました。30年以上昔に一度だけ…深夜テレビで観ました。飛行機が山に墜落して…そこに登るという山岳映画です。
監督/エドワード・ドミトリク、出演/スペンサー・トレイシー&ロバート・ワーグナーですね。1956年の作品。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~gogh0808/MovMountain.htm

山小屋を経営してる兄弟がいて、お兄さんはとても善良な人。歳の離れた弟はチョイワル。お兄さんは初老のオッサンなのに…弟のせいで結婚できない。そんな内容だったような気がします。

で、近くの山に小型飛行機が墜落して兄弟ふたりがそこに向かう。クライマックスの山岳シーンはロケではなくセットだったのかもしれません。弟は飛行機に積んであった何かを奪おうとして、兄に戒められる。そんな…兄弟の確執と愛情を描いたドラマだったと思うのですが、細部までは記憶していません。

すごく地味ですが、慈愛に満ちたお兄さんの温かさが伝わってくる…しみじみとした映画でした。山を眺めるお兄さんの後ろ姿が印象に残っています。

ただの『山』ってタイトルです。もしくは『スペンサーの山』ですね。『ウェールズの山』でも『マークスの山』でもない。もちろん、『山の音』でも『八甲田山』でも『クリフ・ハンガー』でも『バーティカル・リミット』でも『K-2 ハロルドとテイラー』でもありません。

この分野でのわしが大好きな映画に『氷壁の女』があります。ジンネマン監督のショーン・コネリーが主演の渋い映画ですが、観た人は少ないでしょうねぇ。

山岳映画といえば、ガストン・レビュファの『星にのばされたザイル』という美しい映画がありましたね。モンブランやシャモニの針峰を舞台に、登山技術を披露していました。

ザイルでつながれたふたり(たとえば登山者と山岳ガイド)が標高何千メートルの細い尾根を歩いていて…突然、どちらかが崖(谷)に足を滑らせたとします。その瞬間、ふたりが助かる方法はひとつしかありません。そのままだと落ちる人のザイルに引っ張られてふたりとも落ちますからね。
ご存じですか? 愛と勇気があれば、誰でも簡単にできることです。おそらく…。
あ、これって夫婦生活に通じるかもしれませんなぁ(笑)。

わし、以前は登山をしていました。もう登れないかなぁ。今年…もう一度、登ってみようかなぁ。

DVDラベル=山
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