スミス都へ行くで良心を知るもエ~ガね

1939年の作品かぁ。アメリカも若かったんだなぁ。
フランク・チャプラ監督、ジェームス・スチュアート主演の『スミス都へ行く』を観た。ハート・ウォーミングな直球映画に感動した。わしはこういうのも観てなかったんだから…情けない。

https://youtu.be/HX8aFpnWxPA

上院議員に空席ができて、少年団のリーダーをしていた田舎青年のスミスが担ぎ出される。
しかし、彼は純粋で誠実。政界の腐敗に直面するが、秘書のアドバイスもありそれに立ち向かう。ジーン・アーサー扮する秘書の「信念を持った人には敵がいるのよ! リンカーンだって闘ったのよ! あなたならできる」という言葉がよかった。

ふと、手塚先生の言葉を思い出した。
その昔、わしは出会った人に一言コメントをもらっていた。“邂逅”と題したノートに…。
それに手塚先生は書いてくれた。

「誠実でありたい。どんなに高い理想であっても、それが自分を裏切るものであってはならない。」

…みたいな内容だった。ノートが行方不明なので正確な文章ではないが、確かそんな内容だった。
そういえば、手塚先生には“赤本”時代に『スミス都へ行く』をモチーフにしたマンガもあった。
理想と信念と情熱。わしが思い出したのも当然かもしれない。

国政とは違うが、今は都議選真っ最中。今日も、名前連呼の車が通り過ぎていく…。

誰がために鐘は鳴るか考えるもエ~ガね

驚いた。『素晴らしき哉、人生!』が一番好きな映画だという若者に出会った。驚いたが…そういう人がいてもいい。うれしくなる。
その人から「昔の女優では誰が一番好きか」と聞かれた。昔の女優は皆…綺麗だ。その中でお気に入りは誰だろうと考えて、イングリット・バーグマンが思い浮かんだ。『誰がために鐘は鳴る』のときのショートカットの彼女が特にかわいかったなぁと…。

https://youtu.be/vTkuETPM-Ys

鐘…は誰かが亡くなったときに鳴らす合図で、『誰がために鐘は鳴る』は詩人のジョン・ダンの詩がベースになっているらしい。

人間はひとりで海に浮かぶ孤島ではなく、皆がつながった大陸なのだ。
見ず知らずの人が亡くなっても、私たちは何かを失っている。
誰のために鐘を鳴らしているんだろう。
誰が亡くなったんだろう。
いや、鐘は自分たちのために鳴っているのだ。

…というような内容の「誰(た)がために鐘は鳴る」という詩があり、ヘミングウェイはそれをタイトルにして小説「誰がために鐘は鳴る」を書いた。
そして、それを原作にして生まれたのが1943年のアメリカ映画。サム・ウッド監督の『誰がために鐘は鳴る』ということらしい。

スペイン動乱が舞台。ゲリラ活動に参加したアメリカ人のロバート(ゲィリー・クーパー)。彼はジプシーのゲリラに協力を求める。そこで世話になっていたのがマリア(イングリット・バーグマン)というわけだ。戦争映画というより悲恋ものだろう。
マリアは戦争の犠牲ということでショートカットにさせられたのだ。だから、そんなふうに思ってはいけないのかもしれないが…あまりのかわいさにドキドキした。

イングリット・バーグマンはスウェーデン人で、母国ではインリド・ベリマンと発音するらしい。最初のハリウッド作が『別離』だった。そのときの初々しさも印象に残る。でも、当時は英語がまったく話せなかったらしい。
女優ぶらず、気負ったところのない彼女はアメリカの人たちに受け入れられた。おそらく、外見だけじゃなく、性格もかわいい人だったんだろうと思う。

黄金のアデーレに会うもエ~ガね

わし好みの映画。お気に入り作品が増えた。『黄金のアデーレ 名画の帰還』という。

https://youtu.be/DquwejmInhA

国を相手に絵画の返還訴訟という実際にあった話で、そのニュースはわしも知っていた。それがこんなにもスリリングで気品あふれたエンターティメントになるなんて…。
2015年の公開作品で、監督はサイモン・カーティス。

グスタフ・クリムトが描いた女性の肖像画。それは第二次大戦時、ナチスに略奪された美術品のひとつ。戦争に運命を翻弄された家族。ウイーンの美術館にあるその絵画の所有権を争い、裁判をする。しかし…それは思い出したくない過去を蘇らせることにもなってくるのだ。

主演はヘレン・ミレン。絵のモデルとなったアデーレの姪。アメリカに暮らすマリア役の彼女がすばらしい。マリアのお父さん役とか、俳優陣が皆よかった。
弁護士役がライアン・レイノルズ。すごくいい。わしとしては弁護士の妻役でケイティ・ホームズが出ていたのもうれしかった。「信念を捨てないで…」の言葉が心に響いた。

現在に過去が融合する。その表現が自然で見事で…好きだ。
過去が現在に是正を求める。そういう映画なのだろう。
思い出は捨てた。でも、過去を死なせたくはない。
忌まわしい過去は愛おしい過去でもある。
昨日は今日につながっている。
ラストは感動的だった。

現在、「黄金のアデーレ」はニューヨークのノイエ・ガレリエで観ることができるという。



怒りの葡萄を味わうもエ〜ガね

アメリカ人の友人が「私の家族は…お爺ちゃんがイギリスからアメリカに渡って来たんだ」といったので驚いたことがある。今さらながら、アメリカという国の歴史の浅さ…というか、国としての若さに驚いたものだ。
アメリカ人は自分たちで自分たちの国をつくった。そういう意識が強いように思う。

ジョン・フォード監督の『怒りの葡萄』を観た。1940年の作品。主演は若い頃のヘンリー・フォンダ(あの俳優一族のフォンダ家)。母親役がジェーン・ダーウェルという。情けないことに…観たことがなかった。

力強い。ドキュメンタリーみたい。アメリカのイメージが一新する。
原作はジョン・スタインベックで、「怒りの葡萄」は1939年に発表されたらしい。おそらく、原作はもっと政治色が強いのだろう。なぜか、島崎藤村の「夜明け前」や、かつての学生運動を描いた映画を思い出したりもした。

社会の弱者…。映画は小作農のジュード一家を中心に描かれている。息子のトム(ヘンリー・フォンダ)が刑務所から仮出所してくるところから始まる。トムが実家に戻ると家族がいない。家族は…作物が育たない荒れ地から追われ、新天地といわれるカリフォルニアへ行く準備をしている。

オンボロのトラックに荷物をいっぱい詰め込み、旅立つ。トムが加わって12人。元神父(説教師?)も加わって13人。
キリストと12使徒を思わせる。ほとんどイスラムの民だ。これじゃまるで、砂嵐難民じゃないか。
旅の途中、親切な人もいるが…新天地とは名ばかりで、理不尽な労働条件だったりもする。それでも彼らは逞しく、雑草のように生きようとする。

やがて、怒りの葡萄が実っていく。これは資本主義経済に対する農民の憤りだろうか。
しかし、農民が開拓したために砂塵の荒れ地になったという側面もあるかもしれない。
わしはジョン・フォード監督を西部劇映画の人と思っていた。恥ずかしい。

黒澤監督がジョン・フォード作品の影響を受けたというのは聞いていたが…。
それにしても、この骨太なつくりは黒澤作品を思い出させる。
ジョン・フォード作品を全部観なければなるまい。
温故知新。旧作から得るものは大きい。

https://www.youtube.com/watch?v=QwXU-_r19w4
https://www.youtube.com/watch?v=_VK1a9n-Jqk

玉川上水沿いに、今年も忘れず…桜が咲き出した。自然の力はすごい。これも自然と人間の営みだ。桜の見頃はこれから2週間だろうな。


マン・ハントされるもエ〜ガね

28席しかない横浜西区藤棚商店街の小さな映画館…。[シネマノヴェチェント]のことは半年ほど前から知っていました。でも、遠すぎて…。正直、片道交通費1000円かけて行くなんてバカみたいという思いもあったのです。

自ら映画を買いつけて、配給権(上映権)を取り、字幕はプロジェクターでかぶせ、自分の小屋(映画館)で…という経営者の映画愛に触れてみたい。行かねばなるまい。経営者とも話さねばなるまい。そんな思いが日増しに募って…ついに行ってきました。

横浜駅の隣。京急の戸部駅から歩いて10数分。建物の外壁に俳優の顔がたくさん飾られており、思わず見とれてしまいました。
[シネマノヴェチェント]は2階です。経営者のMさんはいなかったものの…小屋にある印刷物などから、映画への熱い思いをしっかり受け止めることができましたよ。

スクリーン席は28しかないのですが、待ちの場所もそれくらいの席があります。そこで、軽い食事やお酒だって呑める(料金500円)。元がカラオケパブだった名残りなのです。観賞後に呑んで語り合うもいい。観てから呑むか、呑んでから観るか(笑)。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=22617

『恐るべき相互殺人』がかかっているとばかり思っていました(料金1500円)。
ところが、時間が合わずに『マン・ハント』を観ることになったのです(料金1000円)。未見だったフリッツ・ラング監督の1941年の作品。SF映画の原点にして頂点といわれる…あの『メトロポリス』で知られる…あのフリッツ・ラングの作品に出会えるとは思ってもいませんでした。

『マン・ハント』は…つまり人間狩りで、ヒトラー暗殺計画に巻き込まれていく男の逃避行を描いています。出だし、主演のウォルター・ピジョンが腹這いになって長距離銃をかまえる。照準器の丸の中には…。狩猟スポーツなのか暗殺を意図したものか。拷問のあとの影の使い方の見事さ…。光と影は後のフィルム・ノワールを感じさせます。
ウォルター・ピジョンは逃走の途中でジョーン・ベネットと出会うのですが、昔の女優は美しい。地下鉄の線路内でのサスペンスフルな表現や、洞窟の内と外との対決場面も興味深かったですね。

今の映画は「あぁ、おもしろかった。で、何を観たんだっけ?」ということも多い。その点、昔の映画はしっかりと心に下りて来る。余韻があるんですね。

それにしても、1941年の作ということはヒトラーが自害する数年前です。ほとんどリアルタイムじゃないですか。よくつくることができたものです。ドイツ映画の巨匠がアメリカに渡ってつくった? チャップリンが『独裁者』をつくったときのように? そのあたりのことはわかりません。

観ながら…手塚マンガを思い出したりもしました。「黄金のトランク」とか、もっと古い「化石島」…。影の使い方とかね。思いを共有しているような…というか、虫先生はこういう映画を子どもの頃にいっぱい観ていたんだろうなぁっていうのをスクリーンから感じて幸せでした。手塚マンガのミームを通してトキワ荘とか、後のマンガ家たちにも伝播していったのだと思う。
だけど、映画が公開されたのはいつだろう。

字幕にも懐かしさが溢れました。認識している人は多くないでしょうが、字幕書体というのは時代とともに変化しています。『マン・ハント』の頃の書体は初期の…いかにも映画の字幕の文字なんですよね。

『マン・ハント』の他、何日おきかで『暗黒街の弾痕』『恐怖省』『外套と短剣』『月世界の女』をやっていたみたいでした。全部観たかった。特に『月世界の女』を観たいと思って聞いてみたら、弁士付きでの上映のため、予定が決まっていないようでした。
考えてみれば、『メトロポリス』にしても…わしは後になって音楽を付けて観やすくしたジョルジオ・モロダー版で観ているのです。元は無声映画なんですよね。
今回がフリッツ・ラング特集の2回目とのことだったので、他にもやってたんですねぇ。

https://www.youtube.com/watch?v=rtzTcqekPZI

わしは吉祥寺の[バウスシアター]によく行ってました…。そこの座席が[シネマノヴェチェント]に使われていたんですよ。思いがけない“再会”でした(笑)。

古い映画を古い小さな映画館で観る。それがそこまで贅沢で幸せな…至福の時間になるとは思いませんでした。そこまで感じるとは…自分でも驚きましたよ。懐かしさが新鮮でもありましたね。あ、古い映画館というのは昔形式のフィルム上映という意味ですよ。温故知新ですな。

それにしても客が少ない。少なすぎる。もったいない。もったいなすぎる。
片道1000円かけて行くなんてバカみたいと思いつつ、多分…わしはまた行くでしょう。旅行気分でね。そう、源流巡りの旅ですよ。



プロフィール

ネコタル爺

Author:ネコタル爺
FC2ブログへようこそ!
ネコ爺ことネコタル爺の高峰 至です。

http://neko.a.la9.jp/

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR