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立ち向かうノースマンがエ~ガス

山の中にあるスナックに行った。下駄を履いていたのだがなくしてしまい…わしはそれを探して山の中を歩いている。
という…どうでもいい夢を見た。わしの夢にはいつも山が出る。どこか幻想的だ。


『ノースマン 導かれし復讐者』のことを書いておこう。ヴァイキングの復讐劇だ。

ロバート・エガース(エーガスじゃないよ)の監督作。主演はアレクサンダー・スカルスガルドだが、プロデューサーも兼ねている。

重厚な映像がいい。ヴァイキングといえば料理や遊園地くらいしか知らなかったが、こういうダークな話があったんだな。史劇を思い出す。

長身のアレクサンダー・スカルスガルドが獣のように蠢く。父王の仇を追うのだ。もしかすると、彼はヴァイキングの血をひいてるのかもしれない。

女奴隷役のアニャ・テイラー=ジョイもよかった。同監督の『ウイッチ』の女優だ。魔性の人かもね。
まるでミステリーのよう。何だか皆が…夢の中の人、いや夢の向こうの世界みたいだった。

https://youtu.be/PjxW5vSHAFk

日の名残りを想うもエ~ガね

何年ぶりかで登山をした。その翌日がオペラ観賞だった。久しい人にも会った。ひとりは山仲間。ひとりは仕事仲間だ。
山とオペラでわしの心は満たされ豊かになって、なぜかふと…『日の名残り』を思い出した。

https://youtu.be/FVuz8FWyFw0

イギリスのダーリントンホールと呼ばれる大邸宅。いわゆる貴族だろう。そこの執事だったスティーブンスが1930年代ころを回想する。

イギリス人の礼節。使用人と主人。世話する人と世話される人。彼らはわきまえた立場の中に誇りを見出すのか。階級制度は使用人の中にまであるようだ。新聞にアイロンをかける場面が印象深かった。

監督はジェームズ・アイヴォリー。主演は執事のスティーブンス演じるアンソニー・ホプキンスと、女中頭ケントン演じるエマ・トンプソン。それぞれ役者たちの渋い演技がまるで醸造されたワインの味わい。アンソニーが「演技は学ぶものではなく、人前でやるものだ」といったとか…。アンソニー・ホプキンスは噴火しない火山のようだ。

執事が主人に傾倒するように、そのころの主人はドイツに傾倒していたのだろうか。時代的にそうなのかもしれない。
いつまでも義務感は抜けない。それがプロの執事というものだろう。
自分はどうだったのか。自分はあのころ、主人に対してどう思っていたのか。自分の考えを破棄していなかったか。ケントンに対しては? ふたりの間は知的な緊張関係だけだったのか。
スティーブンスは自分を探して自問自答しているようにも見受けられた。自分の心の中への自分探しの旅、みたいな…。

『日の名残り』の原作は「遠い山なみの光」のカズオ・イシグロだ。何年か前の“エ~ガね日記”に書いたが、『わたしを離さないで』は生涯忘れることのできない映画だった。
あの主人公たちも…自分は誰なのかと問い詰めていた。それは原作者自身の問いかけでもあるのだろう。

イギリスでは日本人と呼ばれる。でも、本当にそうだろうかと悩んだに違いない。
言葉を覚えきらない幼いうちに別の言葉の国に移ると…その子のアイデンティティが崩れやすいといわれる。彼はギリギリのところにいたのかもしれない。しかし…だからこそ、カズオ・イシグロという作家が生まれたんだろうと思う。

彼は日本時代にマンガに馴染んだという。もしかして、手塚マンガとの接点はあったのだろうか。ふと…そんなことも思った。

イミテーション・ゲームをするもエ~ガね

水辺に棲む生物の愛称で呼ぶ天才肌の知り合いがいる。彼はときに「常識を疑え!」と叫ぶ。
ふと…この映画のことを思い出した。


エニグマという名前は聞いて知っていた。第二次大戦中、ドイツが使っていた暗号だか暗号機械のことだ。ドイツ軍の攻撃情報は傍受できたが、暗号だったため解読できなかった…くらいのことはわしでも知っていた。

ところが、ひとりの天才によってイギリスはその暗号を解読していた。長い間、それは公開されなかった。
詳しくは知らなかったが、天才アラン・チューリングの解読成功と苦悩を描いた興味深い映画が『イミテーション・ゲーム』だった。サブタイトルを「エニグマと天才数学者の秘密」という。

原作/アンドリュー・ホッジス。脚本/グレアン・ムーア。監督/モルテン・ティルドウム。
主演がベネディクト・カンバーバッチで、キーラ・ナイトレイも出ていた。とにかく、カンバーバッチがいい。適役だったと思う。

https://youtu.be/Lzd7MAd0J5A

イギリス軍は極秘で、エニグマを解読できる人物を探していた。映画はその面接場面から始まる。天才ぶったアランの傲慢な態度に、面接の大佐だかが気分を害する…みたいなシーンがあった。

やがて、極秘の解読チームが組まれる。しかし、アランは傲慢でコミュニケーションすら普通にできない。
ひとり女性スタッフのキーラ・ナイトレイ扮するジョーンがいう。「女が男と一緒に仕事するなら好かれなきゃダメ。嫌われたらやっていけない。アラン、あなたも同じ。あなたが優秀でもエニグマは上。仲間に嫌われたら、協力が必要になっても誰からも助けてもらえないのよ」と…。

天才肌の人は独善的で、嫌われることが平気だったりする。ジョーンはそれを戒めたのだ。もっと人に馴染む努力をしろと…。
普通なら…とかいうセリフも何度か出てきた。普通って何だ!? 人にどう思われるかなんてどうだっていい…と、そんな言葉もあったように思う。

アランは暗号解読マシンをつくる。
「マシンは考えるのか? 人間のように」という問いにアランは答える。「マシンは人間とは違う。マシンが人間のように考えるわけがない。人間とは違うふうに考えるのだ」と…。
アラン・チューリングはそういうことを論文にも書いていたらしい。その論文のタイトルを「イミテーション・ゲーム」という。興味深い。
誰も予想しなかった人物が予想しなかった偉業を成し遂げる。彼のおかげで何百万人もの戦争犠牲者が減ったという…。

万能マシン。電気的頭脳…。それが今日のコンピュータにつながっているのだ。


水辺に棲む生物の愛称で呼ぶ知り合いのことを考えて、ふと…思い出した映画のことを書いてみた。彼の頭上に希望の光が差し込むことを祈りながら…。

スミス都へ行くで良心を知るもエ~ガね

1939年の作品かぁ。アメリカも若かったんだなぁ。
フランク・チャプラ監督、ジェームス・スチュアート主演の『スミス都へ行く』を観た。ハート・ウォーミングな直球映画に感動した。わしはこういうのも観てなかったんだから…情けない。

https://youtu.be/HX8aFpnWxPA

上院議員に空席ができて、少年団のリーダーをしていた田舎青年のスミスが担ぎ出される。
しかし、彼は純粋で誠実。政界の腐敗に直面するが、秘書のアドバイスもありそれに立ち向かう。ジーン・アーサー扮する秘書の「信念を持った人には敵がいるのよ! リンカーンだって闘ったのよ! あなたならできる」という言葉がよかった。

ふと、手塚先生の言葉を思い出した。
その昔、わしは出会った人に一言コメントをもらっていた。“邂逅”と題したノートに…。
それに手塚先生は書いてくれた。

「誠実でありたい。どんなに高い理想であっても、それが自分を裏切るものであってはならない。」

…みたいな内容だった。ノートが行方不明なので正確な文章ではないが、確かそんな内容だった。
そういえば、手塚先生には“赤本”時代に『スミス都へ行く』をモチーフにしたマンガもあった。
理想と信念と情熱。わしが思い出したのも当然かもしれない。

国政とは違うが、今は都議選真っ最中。今日も、名前連呼の車が通り過ぎていく…。

誰がために鐘は鳴るか考えるもエ~ガね

驚いた。『素晴らしき哉、人生!』が一番好きな映画だという若者に出会った。驚いたが…そういう人がいてもいい。うれしくなる。
その人から「昔の女優では誰が一番好きか」と聞かれた。昔の女優は皆…綺麗だ。その中でお気に入りは誰だろうと考えて、イングリット・バーグマンが思い浮かんだ。『誰がために鐘は鳴る』のときのショートカットの彼女が特にかわいかったなぁと…。

https://youtu.be/vTkuETPM-Ys

鐘…は誰かが亡くなったときに鳴らす合図で、『誰がために鐘は鳴る』は詩人のジョン・ダンの詩がベースになっているらしい。

人間はひとりで海に浮かぶ孤島ではなく、皆がつながった大陸なのだ。
見ず知らずの人が亡くなっても、私たちは何かを失っている。
誰のために鐘を鳴らしているんだろう。
誰が亡くなったんだろう。
いや、鐘は自分たちのために鳴っているのだ。

…というような内容の「誰(た)がために鐘は鳴る」という詩があり、ヘミングウェイはそれをタイトルにして小説「誰がために鐘は鳴る」を書いた。
そして、それを原作にして生まれたのが1943年のアメリカ映画。サム・ウッド監督の『誰がために鐘は鳴る』ということらしい。

スペイン動乱が舞台。ゲリラ活動に参加したアメリカ人のロバート(ゲィリー・クーパー)。彼はジプシーのゲリラに協力を求める。そこで世話になっていたのがマリア(イングリット・バーグマン)というわけだ。戦争映画というより悲恋ものだろう。
マリアは戦争の犠牲ということでショートカットにさせられたのだ。だから、そんなふうに思ってはいけないのかもしれないが…あまりのかわいさにドキドキした。

イングリット・バーグマンはスウェーデン人で、母国ではインリド・ベリマンと発音するらしい。最初のハリウッド作が『別離』だった。そのときの初々しさも印象に残る。でも、当時は英語がまったく話せなかったらしい。
女優ぶらず、気負ったところのない彼女はアメリカの人たちに受け入れられた。おそらく、外見だけじゃなく、性格もかわいい人だったんだろうと思う。

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