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ベネデッタを観てもエガね

AIを使って絵を描く人と話した。西荻窪の居酒屋でだ。
その人はいってた。「違法のようにいわれるが、認められてもいいんじゃないか」と。

このことを思い出したのは…AIを使って描いた絵が世界的な何かで優勝したニュースを知ったからだ。
審査員がそうだと気づかずに…ということらしい。当然、賛否両論が起こったのだ。

囲碁や将棋で人間がAIに負ける。絵画の世界でも…。比較するもんでもないだろうけどね。
これから先、価値基準が変わっていくだろうな。


『ヴェンデッタ』のことを書いておきたい。『Vフォー・ヴェンデッタ』というわし好みの映画があったが、それとは違う。あれ?
タイトルを間違えた。『ベネデッタ』だった。ポール・ヴァーホーベン監督作品。

信仰か権力か。17世紀のイタリア。修道女が起こした同性愛事件が元になっている。
一方的に宗教裁判を行い、修道女を火あぶりにしようとする。そういう男支配の時代だったんだね。

幼い頃から修道院に入っているベネデッタ(ヴィルジニー・エフィラ)。そこに逃げ込んでくる女性。映画ではふたりを挑発的に描いている。

内容も凄まじいが、わしが驚いたのは監督に対してだ。ポール・ヴァーホーベン監督が昔のままだ。ここまでの映画を撮るんだなぁってことだった。
『氷の微笑』『エル ELLE』の監督が80歳を過ぎてなお、セクシュアリティな情熱を持っていることへの驚きだったのだ。

https://youtu.be/GBvDSfqxgEU

移り変わっていくものがある反面、不動のものもあるってことかな。

ナイチンゲールが何だかエ~ガね?

『ナイチンゲール』の予告を観て興味を持っていた。それを見つけて、DVDで観た。
脚本・監督はジェニファー・ケント。主演はアイスリング・フランシオン。すごい女優だね。

19世紀、イギリスの植民地オーストラリア。その流刑島に来ていた囚人クレアが、イギリス人将校によってヒドイ目に…。将校は出世のために別の町へ…。
クレアは復讐のために、現地住民の青年を雇い…将校を追う。そう、倍返しのロードムービーなのだ。

『ナイチンゲール』は表向きはクレア個人の復讐劇。だが、現地住民アボリジニとイギリス人のことが根底にある。人種差別、女性蔑視、虐殺。暗く悲しく、残酷な話だ。画面は美しいんだけどね。

https://youtu.be/xcIsRMRpfgw

重く…辛い。わしはもう、この映画は観たくない。二度観しなくても、しっかり記憶に残ってるしね。
それにしても、山ヒルってお腹いっぱいになったら体から落ちるもんなんだね。

運び屋を考えるもエ~ガね

居酒屋で、映画談義をして戻ってきた。この頃、酒量が増えたと思う。体重も増えたと思う。いや、思うんじゃなく、体重は確実に増えた。これは何とかしなくちゃいけない。


と、そんなことより、知り合いの老夫婦の話だ。ご主人が…認知、つまりはボケてしまって、奥さんが大変なことになってる。いわゆる…老々介護だ。こういうことは世間で少なくないのかもしれない。

夫はよくトイレに閉じこもるという。中では蛇口から水が出っぱなし。床は汚物まみれで、水びたし。何でも分解する夫は…水のタンクの中のブルーレットまで解体して、トイレ中が真っ青。それを観た奥さんはさらに真っ青…。

深夜に起きて…毎日、這いずり回ってそこらにある物を次々と袋詰めするという。注意すると怒るから…怖くて奥さんは何もいえないらしい。すでに、夫婦の間に会話などあろうはずもない。
「袋から何が出るか、怖いくらいよ」と、そんな話を明るく伝えてくれる。だからわしも「サンタさんになるための予行演習じゃない?」などという。

何でも分解だけじゃなく、夫はすべての電源を切って回ったりするという。だから、半炊きのご飯もできる。
夜中に、すべての電源スイッチを入れて回るらしい。夏でも床マットとかも…。シャワーの水なども出しっぱなしにするというから、これには危険を感じる。

もちろん、ショートスティだかデイサービスを利用している。でも、行かないと駄々をこね…怒り出してしまうのだ。
施設を探しているようだが、高額だし…空きがない。それも日本の現実だろう。

油断すると、夫は外へ出ていって徘徊する。そのことで、何度も警察のお世話になってるらしい。だから、常に見守っていないといけない。寝てなどいられない。奥さんは笑顔で伝えてくれるから、わしも「俳諧ならいいのにね」とか、「先にボケた者の勝ちだね」などといってしまったりする。
すると、奥さんは「ほんとよ。あと何年つづくんだろう。夫と立場が反対ならよかったのに」と疲れた顔で笑う…。

見守るということでは赤ちゃんと変わらない。でも、日々成長していくのとは反対だから…辛いだろうな。
結婚した以上、夫婦には最終的に厳しい問題がつきまとう。極楽トンボのわしには何もできない。軽く聞いてあげるしかない。

とにかく、奥さんの明るさに救われる。それに尽きる。


https://youtu.be/Tn0VR_9OfUA

いやはや…前置きが長くなってしまった。
老々介護の映画ではないが、クリント・イーストウッド監督/主演の『運び屋』を観て、なぜか思い出したのだ。

監督がメイキングの中で語っていた。「いかに自分の感情を観客にぶつけるかだ」と…。
それは映画づくりだけではなく、日常でも同じ。でも、相手に何も伝わらなかったら…。怒るだけだったら…。失礼。話が前に戻ってる。

家族とも別れ、孤独に暮らす老人アール。自分の農場も手放さねばならなくなった90歳近い老人の話。
あるとき彼に、運転するだけの仕事が入る。それが『運び屋』だ。麻薬カルテル事件。大量のドラッグを運んだ実話が元になっている。

その老人アールを…老人のクリント・イーストウッドがリアルに、人間味いっぱいに演じている。
映画の中で何度もセリフとして出てくる。「何よりも家族が大事だ」と…。「家族が一番。他のことは二の次でいい」と…。
『運び屋』は犯罪映画というより、家族愛の映画だろう。運んだのは麻薬だけではなかったのかもしれない。

なぜこれを映画にしたか。イーストウッド監督が興味深いことをいってた。
「確かに犯罪だが、アールはあの年齢になっても新しいことをしようとしたんだ。すごいことだよ」と。そこに共感して映画をつくったということらしい。
もしかすると、監督だけして…主演は別の俳優を探していたのかもしれない。でも、90歳になってシャキッと演技できる人はそういない。リアルにこだわる監督だから、若い俳優にメーキャップして老け役をやらせたくない。ならば自分が…ってことになったのかもしれない。

おそらく、モデルとなったその事件の老人に会って、クリント・イーストウッド監督は刺激と勇気をもらったのだろう。「自分だってまだできる」と…。


人間は死の直前まで成長できるとわしは信じている。でも、もしもわしがボケたら…。
その奥さんにいわれた。「ネコさんはボケないわよ」と。根拠は…わからない。
あ、またも話が前に戻ってる。これじゃもう、映画日記にはならないなぁ。


パトリオット・ディに勇気をもらうもエ~ガね

DVDで『パトリオット・ディ』を観た。2013年に起きたボストンマラソン爆弾テロ。その犯人逮捕までを描く…いわば再現映画だ。

https://youtu.be/fy6EjLsL2z4

実際にあった事件がベースだから…映画としては辛い。あくまでも映画だから…と楽しんで観ることができなくなる。

防犯カメラの映像表現が多く使われていて、映画として緊迫感がある。事件は辛いが、そこはマンガチックな映画出演が多いマーク・ウォールバークがボストン市警察の主役を演じていることで…救われる。明るい雰囲気になるからだ。
監督はピーター・バークで、このふたりは『バーニング・オーシャン』でもコンビを組んでいる。

パトリオット・ディとは愛国者の日のこと。実際の映像も使われていて「ボストンよ、強くあれ!」「レッツゴー、ボストン!」という大衆の声が街に響いていた。
「悪魔に愛は奪えない」という言葉もあった。同感だが、マイノリティを排除するキケンがあるようにも感じた。

宗教がらみかもしれないので、深くは語りたくない。というか、わしは深く語るほどには政治や宗教の知識がない。とはいえ、理由はどうあれ、一般市民が死傷するというのは…許せない。

新宿の街などを歩くと日本に来てくれた外国人の言葉がたくさん聞こえてくる。アメリカはその比ではないだろう。
映画は犯人逮捕でメデタシとなるが、現実の根底はそんなに単純なものではないだろうとも思った。犯人の妻の言葉が心に刺さる。

インタビューに「犯人は多くを奪ったが、与えてもくれた。回復する力を、前に進む強さを!」というような声があった。そう思うしかあるまい。
子どもが亡くなるのは特に辛い。爆弾テロで被災した人の「お返しは元気になること」「未来はよりよい…明るい世界になると信じている!」という言葉に救われる思いがした。

悲惨な事件は映画の中だけでいい。切にそう願う。


ショーシャンクの空に希望を見るもエ~ガね!

今、巷では“希望”という言葉が飛び交っている。新聞でも連日、“希望”の文字が踊っている。


さて、久しぶりに『ショーシャンクの空に』を観た。『スタンド・バイ・ミー』とともに、わし好みの映画だ。
実は知り合いの女性から好きな映画だと推薦され、不思議に思った。どこが女性好みなんだろうと、確認する意味でDVDで観直した。今回は監督のコメンタリー(音声解説)版でも観た。

https://youtu.be/gqMl4-aETzA

脚本・監督はフランク・ダラボン。初監督らしい。原作はいわずと知れたスティーヴン・キングだ。

殺人の冤罪でショーシャンク刑務所に入った優秀な銀行家のアンディ(ティム・ロビンス)。刑務所にはレッド(モーガン・フリーマン)など囚人たちがいる。偽善者の所長もいる。

どちらかといえば地味な映画だ。暴力シーンもアップ表現ではなく、風景のように撮られている。全体的に抑えた…控えめな表現だ。主演のティム・ロビンスにしても静かに演技する。だからこそリアルにも伝わってくるわけだが、そういうところが女性に支持された理由かもしれない。

「音楽と同じで、心から希望が消えることはない」というアンディに、「刑務所では希望は必要ない。危険な考えだ」とレッドはいう。でも、アンディはあきらめない。必死に生きるか、必死に死ぬか。
どんな逆境にあっても“希望”を捨てない姿に…女性は共感するのかもしれない。いや、これは女性も男性もないだろう。
やがて、ふたりに芽生える友情と信頼。感動的だ。爽快ですらある。

なぜだろう。観るたびに深く…観るたびに前よりもよく感じる。好きな映画だ。

レッド役のモーガン・フリーマンがいい。コメンタリーに「どうしてコマーシャルに出ないのか」と聞いたというのがあった。モーガンは「私が出たら、観た人が本気にするだろう?」と応えたという。
なるほどと思う。モーガン・フリーマンは何を演じても本物になる。ずっと昔からそこにいたと感じさせる。

アンディがキャッチボールをしているレッドに話しかける5分ほどの場面。撮影に9時間かかったという。
刑務所はセットを含むいくつかの場所で撮影して、それをひとつの場所に見せている。アンディが謎めいたことをレッドに話しかける場面。飛行機の音が撮影の邪魔だったが、ティム・ロビンスが上空を見上げるしぐさをしてクリアしたという。なるほど。

牧草地にある大きな木。そこに並んだたくさんの石。最初からあったのではなく、美術スタッフたちが置いたのだという。ほんの数秒だが、バッタが飛び交う草原を歩く幻想的なシーンもあった。それを撮りたくて苦心したという。

監督が苦労話を語るコメンタリーはとてもおもしろかった。限られた予算の中で、皆がどれほど気持ちを込めてこの映画をつくったのかがわかる。
冒頭の拳銃を持つ手が追加撮影をしたフランク・ダラボン監督の手だったなど、まったく気づかなかった。

タイトルは原作よりすこし短い。原作には重要なポスター女優の名前がある。
映画の原題は『Shawshank Redemption』だ。Redemptionは罪を「贖う」だけでなく「回収」の意味もあるらしい。なるほど。

メキシコ人は太平洋を“記憶のない海”と呼ぶという。
“希望”の土地として、ジオタネホだかシワタネホが出てくる。

原作にはないらしいが、ラストの場面が美しく、心が洗われるようだった。





わしは5年前に病気をして…今日は病院でその検査の結果を聞く日だった。
結果は全快で問題なし。わしにとっても“希望”の日になったのだ。

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