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蜜のあわれに漂うもエ~ガね

耽美的? う~む。わしにはキミョーな映画だった。原作がとても気になったので、読んでみた。会話だけで構築されている。詩人の小説かな。う~む。やはりキミョーキテレツだ。

室生犀星の原作小説で、石井岳龍の監督による『蜜のあわれ』のこと。
これは何と…老作家と金魚の話なのだ。老作家を演じるのが大杉漣。いわば、これは老作家の妄想、たわごとの世界かもしれない。きっとそうだろう。
金魚は…よくわからないが、変幻自在。若くてかわいい…ときにコケティッシュな女性でもあって、それを二階堂ふみが演じている。う~む。彼女でないとこの役はできなかったかもしれない。

わしがはじめて二階堂ふみを観たのは役所広司監督の『ガマの油』だった。ラストの笑顔にヤラれた。野性味のある宮崎あおい…を感じたものだった。

『蜜のあわれ』では老作家と金魚に加えて…真木よう子演じる幽霊が加わる。もう、何というか…超現実主義的な世界なのだ。

https://youtu.be/lYvo5QCN06k

「この物語はいったい何を書こうとしたのか」という…室生犀星のあとがきに興味を持った。

「魚介を仮象としてごてつくばかりの世界に、ふらふら不用意にも迷い込んでいた」とある。「物語の持つ美しさというものは、どの人間の心にも何時もただようている」という言葉には心動かされた。
老境の作家の孤独と不安と自信が読み取れる。
「作家というものの五体のどこかには不死身の箇処があって、幾ら年月が経っても死なない」「色を変えずにつやつやと生きている」「癌に似た不死身の一処をさすりながら、彼は生き彼は書き、ありもしない才華へのあこがれに悶えている残酷さ」などという言葉が突き刺さってくる。

特に興味を持ったのが…映画『赤い風船』について書いているところ。アルベール・ラモリス監督の『赤い風船』はわしも好きな短編映画で、風船が意思を持つペットのように少年について廻る。美しい映像詩だった。
室生犀星は…かつて観た『赤い風船』が自分にとっての「蜜のあわれ」ではなかったかと自問している。う~む。なるほど、赤い金魚は赤い風船だったのかもしれない。

映像といえば、「蜜のあわれ」にその場面はないが…遠くできらめく光芒が水平線に沈下していく姿を書きたかったという。まるで、命は闇の中に弧をえがく火花のごとく…。
映画『蜜のあわれ』では原作にないその場面がある。美しいものをつくりたいという共感。石井岳龍監督の…原作者への思いやりのようなものを感じた。


セシウムと少女を語るもエ〜ガね

映画館に行かなくなって久しい。淋しい限りだ。そんなおり、映画館に行くチャンスがあった。総武線(中央線)東中野の[ポレポレ東中野]に…。

ヒョンなことから『セシウムと少女』を観た。監督は才谷遼? 聞いたことがあるな。[ふゅーじょんぷろだくと]の人じゃないか。だったら、どこかで会ったかもしれない。[ふゅーじょんぷろだくと]に行った記憶もあるし…友人の友人だ。

https://www.youtube.com/watch?v=eGviixaZkow

『セシウムと少女』は時空を越えた冒険ファンタジーとなっているので…一応、その分類にしておこう。
主人公の名前はミミちゃん。これは赤本時代の手塚マンガからの命名で、そこからもいかに監督が手塚ファンかというのがわかる。そこに親しみを持ちつつ映画を観た。おそらく同世代だし、まんざら知らない監督でもないので…思ったことを率直に書くとしよう。

中央線の阿佐ヶ谷に暮らす女子高生のミミちゃん。彼女はヘンなおじさんたち(神さま?)に出会う。おじさんたちと一緒にお婆ちゃんの九官鳥を探すことで、東日本大震災後の“水”を追求することになる。
そんなお話だが、『セシウムと少女』の内容は…というと一筋縄ではいかない。冒険ファンタジーとなっているが、むしろ告発映画に近いのではないだろうか。

3・11の放射能汚染の問題に対して、いわずにはおれなかったということだろう。その気持ちはわかる。痛いほどわかる。

ただ、映画として観ると…たくさんの問題があるように思えた。絞り込み不足感は否めないし、文字(セリフ)に頼りすぎている気がする。“学習マンガ”という分野があるが、それに例えればリアルな“学習映画”かもしれない。
でも、いわゆる告発映画かといわれれば…そうかもしれないが、そうでもない。アニメも入ったりしてユーモラスで斬新。妙にたのしい不思議な映画だった。

阿佐ヶ谷を含めて、わしは中央線沿線に馴染みがある。ノスタルジックで、そこには古きよき日本がある。わしがいつもウロウロしている界隈だ。
川にしても同じで、わしは古地図を手元に…趣味で東京の川に沿って歩いている。電車ではなく、川から東京の地形を把握しようとしているのだ。

そんなこともあり、わしはこの映画を観て…懐かしい友と再会したような親しみを覚えた。


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