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ザリガニの鳴くところに行くもエ~ガね

不安で目が覚める。カイアもこんな気持ちだったんだろうか。

ディーリア・オーエンズ原作の『ザリガニの鳴くところ』を観た。観たあとで長い原作を読みだし、半分近くまで来た。熟読しているのだ。
映画も原作と同じように、殺人事件の起こった今と過去を交互に描く。監督はオリビア・ニューマン。法廷ものというのを最初の段階で見せている。

ミステリーなのだろうが、ピュアな恋愛ものというのも強い。特にわしに原作を読もうと思わせたのはノースカロライナの湿地帯…。そこで育った少女カイア。6歳のときからひとりで生きてる。そこでひとりの少年に出会うのだ。半分読んでもまだ少女時代だ。

テイト少年によって、カイアは言葉を学ぶ。
訳がいいのか、文章表現がすばらしい。プラタナスは秋が来たことを感じ取り、幾千もの金色の葉をきらめかせる。秋の葉は落ちるのではない。飛び立つのだと…。

「世のなかには野生から離れて生きられる者もいれば、生きられない者もいる」という言葉があった。原作にだが、映画にもあったかもしれない。自然描写が克明なのだ。
わしも山奥で生まれ育ったし、小さいころは動植物が友だちだった。だから共感したんだろう。

湿地と沼地は違う。湿地は水が流れる。ともかく、カイアの価値基準…というか生き方のすべては湿原から学んだものだ。学校にも行っていないが学者のように詳しい。“湿地の少女”は絵も上手なのだ。小動物たちをスケッチする。

https://youtu.be/Ge1NH5s6w-U

読み終えたらもう一度『ザリガニの鳴くところ』を観たい。でも、上映は終わっているかもしれないな。ま、それならそれで仕方ない。

ちなみにザリガニは鳴かない。奥深いところの比喩だろう。

野生のエルザが懐かしくてエ~ガね

どういう気まぐれか『野生のエルザ』を観た。たぶん、50年ぶりだろう。

わしもそうだが…動物好きの知り合いがいて、その影響かもしれない。

実際にあった話で、狩猟監視官と作家の妻に育てられたライオンたち。

2頭は動物園に入れるが、メスライオンはエルザと名付けて育てるのだ。

原作は妻のジョイ・アダムソンで、ケニアが舞台の1966年の作品だ。 

エルザを動物園には入れず、野生に戻すことを決意するのだが…。

エルザはやがて、野生復帰する。映画はそれを描いている感動作だ。

野生に戻ったエルザとアダムソン夫妻の再会シーンは胸を打つね。

監督はジェームス・ヒルとトム・マクゴーワン。音楽はジョン・バリー。

原題は「Born Free」だが、それを『野生のエルザ』としたのがにくい。

https://youtu.be/RvY9WIQ8oXg

『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』を思い出した。エルザの精神が生きてるよね。
時代の流れで…求められるものや映画表現が変わっても、心底にあるものは同じなのかもしれない。

ハニーランドが甘くなくてもエ~ガね

宮崎アニメは風の表現が上手だ。風は見えない。だから…木の葉や、なびくスカートの裾で表現する。
人の命も同じだろう。命は見えない。だから…その人の生き方で表現するんだろうと思う。


『ハニーランド 永遠の谷』のことを書いておこう。
こういう生き方もあるんだ。静かで…力強いドキュメンタリーだった。

北マケドニア? どこだろう。きっと、ギリシャの北のほうじゃないかな。
そこの山岳の村に自然養蜂家として、ひとりで暮らす女性がいる。いや、正しくは余命いくばくもない母親を介護しながら…。そこは電気も水道もない。
養蜂というのは巣箱をイメージするが、古くはこの方法なんだろうな。

子どもの頃に読んだ白土三平のマンガを思い出した。
「賢明なる読者はお気づきと思うが」と前置きして、不老長寿の“イシミツの術”が紹介されていた。石蜜…つまり、蜂蜜のことでそれだけ栄養があるとのことだった。

とにかく、その山岳村に別の家族が引っ越してきて…秩序が崩れる。
蜜の半分だけをいただく。残りは蜂のものと定めていたのに…。

https://youtu.be/eeDefIxRmAQ

『ハニーランド 永遠の谷』はタマラコテフスカとリュボミールステファノフの監督作。最後の自然養蜂家のハティツェムラトバの生活を追ったものだ。
こういう生き方もあるんだ。3年間の記録らしい。静かで…力強いドキュメンタリーだった。


正直、この頃少し…アメコミ原作のCG映画に辟易していて、ミニシアターのこういう映画に触れる機会が増えてきている。


ビッグ・リトル・ファームで共生するもエ~ガね

久しぶりに[新宿ピカデリー]に行った。観客は15人くらいしかいなかった。それでも残り席はわずか。コロナ対策のソーシャルディスタンスとして、席と席の間に座れない3席を空けていたからだ。おかげで試写室のような気分で観ることができた。

ずっと観たかった『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』をやっと観ることができたのだ。

わしの友人に、保健所に回されそうになっていた犬をかわいがっている者がいる。
同じように、黒犬のトッドを引き取った夫婦。しかし、鳴き声のためにアパートで飼うことができなくて、農園に移り住む決意をする。
リトル・ファームというから小さなかわいい農園かと思っていたら、東京ドーム17個分もある広さだもんなぁ。大変だぁ。

夫のジョン・チェスターは映像作家で、本作の監督。奥さんのモリー・チェスターは料理家だ。有機農業による料理は腸内の細菌を増やし、身体を助けるという。
『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』はそんなふたりの8年間の奮闘の記録映像なのだ。

自然農法のコンサルタントの教えを受け、荒れ地を最初から…岩肌のような土に水を引き、ミミズを培養して堆肥をつくる。若い人も参加する。そのようにして、再生型の美しい農園に変えていくのだ。

虫と動物と植物。たくさんの生き物が集まる。生命体はその場所に調和していく。そこに自然生態系サイクルのドラマが生み出される。
人間が一番じゃない。自然を支配したり屈服させたりなどできない。自然は人間のボスであり、逆らうことなどできないのだ。それより、自然を愛し、教えを乞うほうがいい。そのほうが喜びも大きい。

なるほど、生態系はこうしてつくられるんだ。こうしてわしらは生きているんだな。
わしらは自然との共存…などと軽々しくいってしまうが、それはこういうことなのだと痛感した。

暴風で作物が被害を受けたり家畜が死んでしまうなど、辛く悲しいことも多い。終わりがない。どこまでやれば農家と名乗っていいのかもわからない。
でも、その苦しさも厳しさも…すべてが生きる喜びにつながっていく。ふたりの笑顔を観るとわかる。
大きな画面で観られてよかった。

https://youtu.be/dgqy_NOW6y0

子どものころ、田舎ではうちの家だけが有機農業をしていた。田植えを手伝うと、苗を植える手にヒルが吸い付いてくる。怖かった。
よその家は農薬を使うから綺麗な田んぼで…恨めしく思ったものだ。今にして思えば、父親もこの映画のようにしたかったのかな。

わしは今、ひょうたん栽培を手伝っているが、葉にはアブラムシが付く。この映画のように待っていれば…テントウムシが来てくれるのかもしれない。

ベランダや机の上の小さな鉢の植物でも…想いはビッグ・リトル・ファームに通じている。


リバー・ランズ・スルー・イットが美しくてエ~ガね

わしには4つ違いの弟がいる。『リバー・ランズ・スルー・イット』を観て…思い出した。
田舎の家の近くに小さな川があった。子ども頃、そこでよく弟と釣りをしたものだ。オイカワという美しい魚を追い求めた。あのせせらぎ。わしらは水の流れのとりこだった。

ロバート・レッドフォード監督の『リバー・ランズ・スルー・イット』は家族の映画だ。タイトルは「そこを通って流れる川」というような意味らしい。
モンタナといってたから、場所はロッキー山脈やグレートプレーンズ草原があるあたりだろう。原作はノーマン・マクリーンの「マクリーンの川」らしい。

そこは自分だけの世界。魂の場所。父の教えでは宗教とフライ・フィッシングの間に境界線はなかったという。父の手ほどきを受けるノーマンとポール。四拍子で糸を投げ入れる。自然界の神のリズムだ。

老いた兄…ノーマンが川で釣りをしながら追想する。父が教会でいったあの言葉。完全に理解することはできない。でも、完全に愛することはできる。思いは溶け合いひとつになり、川は流れる。
牧師だった父のことを思う。母のことを、そして(ブラッド・ピット演じる)弟ポールのことを…。

釣りのシーンが美しい。川が美しい。人生もまた同じように…。

釣り器具のリールが見つからないとき、弟と♪誰かリールを知らぁないかぁ♪と「上海帰りのリル」を唄ったもんだ。
時が過ぎても、わしはこの映画を忘れない。弟とオイカワを求めた子ども時代の思い出とともに…。

https://youtu.be/sgciiMl66ak

『リバー・ランズ・スルー・イット』のナレーションは監督自身が担当している。
余談だが、ロバート・レッドフォード監督は…ブラッド・ピットが若き日の自分に似ていたので彼を選んだんだろうな。

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