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武蔵野で狂武蔵を観るもエ~ガね

[新宿武蔵野館]で『狂武蔵』を観た。つ、疲れた…。
武蔵と吉岡一門の戦いを描いている。武蔵が400人を斬る。77分長回し一発撮りで…。
斬っても斬っても斬っても、吉岡一門の侍はゾンビのように飽きるほどに武蔵に挑む。
これは映画なのか、アクションドキュメンタリーなのか。下村勇二/監督。

9年前に撮ってお蔵入りしていた77分長回し1カットの前後に…今回、新しく撮影した映像を加えて『狂武蔵』ができている。「くるいむさし」と読む。
主演俳優や制作スタッフの狂気ともいえる熱量がすごい。しかし、それがまた…疲れる。
“狂”は主演やスタッフ…だけでなく、観る側にも伝わってくる。
命がけでつくっている映画は命がけで観るしかない。

主演の坂口拓を初めて観たのは北村龍平/監督の『VERSAS』だった。アクションに取り憑かれてる人だなと思った。
わしはアクションが特に好きというわけじゃない。でも、何とかバカって言葉があるように、ひとつのことを追求していく人は好きだな。かくありたい。
今回、新しく撮影された坂口拓がシブくてカッコよかった。モックンの弟みたい。そういえば、モックンも武蔵を演じたことがあったな。『巌流島』だったかな。

最初と最後の…新しく追加撮影された部分はしっかりカット割りされている。とても映画的だ。
が、さすがに脅威の77分1カットは少々粗い。骨折したって撮影を途中でやめられないしね。
例えば、斬られた吉岡侍はどこへ行った? 時代考証も少々甘い。現代的武蔵になっている。
最初と最後はそれとの対比というか…コントラストがおもしろい。

とにかく、熱情は人を動かす。必見…! 疲れるけどね。

https://youtu.be/0H-_cBfgLvk


武蔵と吉岡一門の戦いといえば、萬屋錦之介による内田吐夢/監督の『武蔵』が忘れられない。
1カット映画といえば、『カメ止め』もあるが、『1917 命をかけた伝令』を忘れることはできない。


霧の中で蜘蛛巣城を観るもエ~ガね

 
 見よ 妄執の夢の跡
 魂魄 未だ住むごとし
 それ 執心の修羅の道
 昔も今も かわりなし

真夜中に黒澤明監督の『蜘蛛巣城』を観た。シェイクスピアの「マクベス」を原案にした戦国ものだ。何度目…いや、観るのは何10回目かだろうな。
DVDでは字幕付きで観る。言葉が聴き取れないからだ。わしは古い黒澤映画が大好きで、ときどき…原点に戻りたくなると観る。
『蜘蛛巣城』は後の『影武者』や『乱』につながる作品だが、わしはこっちのほうが好きだ。

古い映画が好きというわけでもない。わしはおもしろい映画が好きなのだ。
それに加えて、表現の源流を知りたいと思ってしまう。『スターウォーズ』の源流に黒澤映画の『隠し砦の三悪人』があるように…。

たとえば、わしは長野県を流れる梓川に愛着がある。槍ヶ岳付近からの幾筋かの小さな流れが、やがて梓川になっていくのを観て…感動した。それに近い。
またたとえば、マンガのフキダシはどうしてできたんだろうと調べてみたことがある。するとそのひとつは…屏風絵にたどり着く。それにも近い。

黒澤作品の多くは後になって別の映画として作り直されている。黒澤プロとしては経済的理由でリメイク権を売る必要があったんだろうな。でも…正直、なくてもよかったと思うことがほとんど。オリジナルを観返すほうがずっといい。

コロナのせいでNHKは「麒麟がくる」を休むらしい。五里霧中…。ならば、その間に『蜘蛛巣城』観賞はいかがであろう。1957年作品。

https://youtu.be/DEnYge75BEw




そういえば、スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』のつづきだかの『2030年』という誰かがつくった映画があった。なくてもよかった。
同監督の『シャイニング』のつづきの『ドクタースリープ』というのもあった。申しわけないけど、なくてもよかったな。

『デューン』はリメイクとはまた違うんだろうな。オリジナル映画のデキがよかったとはいえないし、リブートだから再起動ってことかな。どんな砂の惑星アラキス=デューンを見せてくれるだろう。
数々の映画の源流でもあるフランク・ハーバートのあの長くて濃密な原作小説。1本の映画で表現するには無理がある。前・後編に分けるのは妥当だろう。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督に期待している。何年も待っていた。映画は主食。11月が楽しみだ。


引っ越し大名に笑うもエ~ガね

何とも楽しい映画を観た。犬童一心監督の『引っ越し大名!』だ。高橋章宏の原作で、脚本も担当しているようだ。

https://youtu.be/aJGVHJGlEz8

映画は、引っ越し奉行となったカタツムリ侍の奮闘を描く。演じるは星野源。役にピッタリ。
彼をサポートするのが三船敏郎チックな高橋一生。厳しくかわいくサポートするのが高畑充希。俳優陣が皆々、よかった。

高畑充希は歌も上手で、わしは彼女が唄うXジャパンの「紅」が好きだった。なので、妾役が歌唱の場面は彼女の二役かと思ったら…丘みどりだったか。

別名…白鷺城とも呼ばれる姫路城は美しい。わしは5回は行ってる。前半はそこが舞台だ。
とにかく、『引っ越し大名!』は笑って泣ける…楽しい映画だった。

松平の名前は日本各地に残っているが…そうか、そんなに何度も国替えをさせられたのか。力をつけさせないようにという幕府の思惑だとすれば、松平直矩はもともと力のある大名だったんだろうな。それとも…お家騒動とかだろうか。
このあたり、興味深い。映画はどこまでが史実かを含めて探求してみよう。

わしの好きな映画分野はSFファンタジーだが、時代劇も同じくらい好きなのだ。

散り椿を観て椿三十郎を思うもエ~ガね

公開初日、初回に『散り椿』を観た。監督・撮影/木村大作、脚本/小泉堯史…という黒澤監督のふたりの弟子による作品だ。
とても綺麗な映画だった。どこをカットしても絵になる。丁寧につくられていた。でも、映画の感想が綺麗というのはいかがなものか…。

https://youtu.be/6Ov428Ffqkc

タイトルに同じ椿の付く『椿三十郎』を思い出した。いわずもがなの黒澤明監督作品だ。映画的にリアルで、不正に立ち向うという点では『散り椿』にも通じるが…とにかく、内容がおもしろかった。カンペキな脚本と演出。ユーモアがあり、美術としてもすばらしかった。
あくまでもドラマが主であり、美術はドラマの向こうにあるものだと黒澤監督は伝えていたと思う。
わしは黒澤作品が好きですべて観ているが、この『椿三十郎』は特にお気に入りで何度観たかわからない。

黒澤監督が草葉の陰でくやしがるような映画を期待していたんだけど…。
でも、岡田准一が武士(もののふ)の顔をしていて、すごくいいね。殺陣もユニークだった。ただ…主役が大きく見えるようにキャスティングなどの配慮があってもよかったんじゃないかな。たとえば田中屋を小柄な人にするとか。黒澤映画での三船敏郎が大きく見えたように。

木村監督の『剱岳 点の記』は山岳映画だから、綺麗であることが内容に直結していた。
『散り椿』もオールロケにより綺麗だ。新兵衛と篠とが互いを思う気持ちも誠実で綺麗だった。だがもしも、おもしろさよりも綺麗さを優先しているとしたら…少し違う気がする。藩の不正や権力争いが絡むならば、メリハリというか…綺麗さを浮き彫りにするためにも人間の汚さとか内面を、もっとドラマチックに描く必要もあったのではと感じた。

至近距離での新兵衛と采女の対決は、三十郎と半兵衛を思わせるものの…なぜ戦わねばならないのか釈然としなかった。そこが少し弱い気もする。
あぁ、椿は散ったのか。今は葉室麟の原作小説を読んでみようと思うばかり。

でも、『散り椿』ではスタッフロールでのそれぞれの名前が各々の手書きで新鮮だった。まるで寄せ書きのような手作り感があって好きだった。

たたら侍を語るもエ~ガね

初日に観る予定で…行けなかった。現時点でまだ観ていない。『たたら侍』のことだ。
錦織良成監督はいわばご当地監督だ。島根県を舞台にした映画を数多くつくっている。でも、これまでのは他の人の原作だったと思う。原作・脚本・監督? もしかすると、完全にオリジナルというのは初めてじゃないかな。

わしは“遣島使”…つまり、島根県をアピールする使命を持っている者だから、観て映画をPRする役割がある。
でも、映画ファンだから、そこはどうしてもシビアになる。だから今…ちょっと迷っている。
つづきは観てから書こう。

https://youtu.be/aecC9UlRIUg

驚いた。新宿の映画館では上映が終わっていた。5/20公開で6月に入ったら終了ってどういうこと!?
わしが「そんなに入ってなかったの?」と聞くと劇場スタッフは苦笑いしてた。観客が少ないなら景気づけに酒でもひっかけて観るか。これがほんとのヤシオリ作戦か。でも、やってないんじゃどうしようもない。
そうか、気づいた。刀鍛冶職人の役だかで出てた俳優が大麻使用で逮捕された。その影響だろう。

どこかでまだやっているのだろうか。ちょっと困っている。
仕方ない。こんなことは初めてだが、こうなったら観ないで日記を書くしかない。


一般的には『もののけ姫』で認知されたのかもしれないが、“ヤマタノオロチ”などとともに「たたら吹き」というのは昔から知っている。鉄をつくる技術のことだ。

貴重な錆びない刀をつくる。それは1000年以上も前から奥出雲のその村に伝わっていた。
興味深い題材だ。問題は映画としておもしろいかどうかだろう。

その技術を受け継ぐ主人公が侍に憧れ、村を出る。
そして…世の中を知り、村に戻ってくる。
基本的にはそういう話だろう。

錦織監督は戦うことを描いてこなかったように思う。戦わずに…風土の中で生きる人々を淡く描いてきたように思う。祖父江先生の「県民性」ではないが、そこは地味な土地柄なのだ。
だからきっと、価値ある映像として「たたら吹き」を美しく丁寧に描き出してくれているだろう。間違いない。それは確信する。

どうして今回のようなアクションを交えた話になったのかといえば、プロデューサーのEXILE HIROの意向かもしれない。そこに少しチグハグ感が生まれたのではないかと推測する。

主人公が生きて動くからそこにドラマが生まれる…はずだ。伝統技術を受け継ぐことの大切さを知る? “我王”のように悟りを得たのか。主人公は何をどう考え、なぜ戻ってきたのか。そこが弱いのかもしれない。
「焼け野の雉」の話を思い出す。巣のある野を焼かれたキジは我が身を忘れて子を救いに戻るという。信念というか情念というか、主人公のそういうところが弱いのかもしれない。ご都合主義になっているのかもしれない。
もしかすると、人々の営みを俯瞰するように美しく表現しているのだろうか。

もっとも、観ていないのだから何もいえない…。いい加減な映画日記で恥ずかしい。これではとても“遣島使”の役割を果たしているとはいえない。


すべては…島根県庁より送られてきた映画のチラシを観ての印象。
そこには「すべてから逃げた僕に残された宿命」とか「力とは何か 本当の強さとは何かを僕は知らなかった」と書かれていた。キャッチが長くて抽象的だ。それを読んで上記をイメージした。絞り込まれていないのか。何を伝えようとしている映画だろうとも思った。
故郷の魅力、再発見? だとしたら…県の観光課とかがつくる映像かもしれない。

あぁ…。でも、やはり観ないでウダウダいうのは映画に失礼だ。まだどこかでやっているかもしれない。映画を観るために旅に出るしかないのか。幻の映画となるのか。

そういえば、その昔のロードショーのときの『2001年宇宙の旅』は「難しすぎる」「客が入らない」という理由で、1カ月もたなかった。それが名作と評価されたのは何10年か後だ。果たして、『たたら侍』はどんな運命をたどるのだろう。



どうやら、再公開のメドがたったらしい。
覚醒剤だかで逮捕された俳優部分をカットして再上映をするという。でも、わしは観ない。
想像だが、その俳優の役は…たたら技術を受け継ぐ主人公みたいにはなれない立場だったのかもしれない。だから、出て行こうとする主人公と対立する。でも、やがては戻ってきた主人公を受け入れる。そんな感じだろう。
おさまりはよくなるかもしれないが、そこをカットしたら映画としてズタボロじゃないかな。そんな映画は観たくない。気の毒な映画だが、いっそ、横ではなく縦にカットしては…とイジワルな気持ちにもなってしまう。

いつか…オリジナルを観ることはあるだろうか。
「たたら吹き」の映画セットとか何か残されたのだろうか。匠たちの気高い精神が山々に宿っているだろうか。“遣島使”のわしが引率して、有志で伝説の奥出雲の地を旅するのもわるくない。

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Author:ネコタル爺
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