fc2ブログ

少年時代に戻るもエ~ガね

4月7日、A先生が亡くなった…。

ヨーロッパへ行く前だった。わしはカバンを借りるためA先生宅に行ったのだ。奥さまが飲み物を出してくださり、わしらは何気ない会話をした。そのとき、A先生は…柏原兵三の「長い道」が好きだといわれたのだ。自分に似てるんだ、と…。
きっと、わしにとっての山本有三の「路傍の石」みたいな存在だったんだろうな。50年前の話だ。

「長い道」をベースに「少年時代」というマンガがつくられ、やがて『少年時代』という映画になった。『瀬戸内少年野球団』を観て、A先生が篠田正浩監督に依頼したのだ。
完成披露試写会のとき、わしは監督に「篠田監督の作品の中で一番好きです!」といってしまい、ムッとされたものだ。

昭和19年。戦局が悪化する中、東京の小学5年生だった進二は富山に縁故疎開する。そこにはタケシという子がいて、進二をよそ者扱いしてイジメるのだ。映画ではどこかボーイズラブ的な匂いも感じたな。
学校への一本道は映画撮影のためにアスファルトをはがしてるんだよね。

進二とタケシふたりの主役…いや、地元で選ばれたタケシは主役ではなかったはずだけどね。ふたりとは披露試写会で話したが、小さな少年だった。映画では大きく見えたのに…。

主題歌は井上陽水が担当している(呼び捨てゴメン!)。A先生の麻雀仲間でもあった陽水に依頼したのだ。
彼は作詞が苦手だからといったので、A先生は2カ月かけて作っている。ところが、できあがった曲…そこにはそれが一言一句使われていなかった。ま、陽水の詞は絵画でいえば抽象画だからね。イメージは元詞からいただいたといわれて何もいえなかったのだ。

♪なぁつがすぎぃかぜあざみぃ~
進二が富山を去る列車の場面、そこで「少年時代」が流れる。熱く、せつなく、美しく…。

歌がヒットして、歌だけが生まれたと思ってる人もいるんだろうな。映画『少年時代』を観てほしい。


思い出も多い。わしはA・F両先生に関わっていたから…。近すぎて見えなかったものもあるだろうな。
手塚先生は宇宙に去って……F先生も遠いクニに行ってしまい、そして、いつかと覚悟はしていたけど…今度はA先生まで…。
そういえば、4月7日はアトムの誕生日でもあったんだよね。

帳の下りた井の頭公園をひとりで歩いた。コロナのせいで今年はライトアップしていない。満開を過ぎた桜が物悲しかった。

何かを選ぶってことは、他を選ばなかったと同じなんですよね。
さようなら。もう会えないんですね。ありがとう…A先生。



いちごの唄を聴くもエ~ガね

薦められて、DVDで『いちごの唄』という映画を観た。まったく、何も知らなかった。地味だが…しみじみとよかった。

わしはもちろん、12/20初回に『スターウォーズ』は観る。
でも…この頃、ガキっぽいというか…CG満載のド派手なお祭りみたいな映画がイヤになってきている。たとえば、あの映画の指パッチンて何なんだ!?
で、こういう地味でしみじみのほうが心に沁みる。なぜだろう。

『いちごの唄』は日本の映画だ。その知識しかなかった。いや、原作は小説で、作者の名前だけは知っていた。薦められた時点で知ったのだ。でも、監督も出演者も、内容も何も知らないで観た。
新しい映画なのに、レンタル屋にDVDは1枚しかなかった。最初から忘れられたような存在だった。

そういう地味な映画のほうが心に沁みるのはなぜなんだろう。自分の中で何かが変わってきている? この歳でこんなことをいうのも恥ずかしいが…大人になったということだろうか。あるいは逆に、老いたということかもね。

https://youtu.be/xl5j-DTNjLU

都会のメルヘン? 特殊な恋愛劇かな。子どものころの思いは永久に消えることはない、ということかもしれない。
原作は岡田惠和と銀杏BOYZ峯田和伸の連作短編小説…らしい。コウタを古舘祐太郎、あーちゃんを石橋静河が演じている。監督は菅原伸太郎という。

薦めてくれた人に感謝。とにかく、観てよかった。もう冬なのに、心は春風なのだ。


素晴らしき日曜日にするもエ~ガね

黒澤監督の没後20年を記念して…というわけでもないが、大昔に映画館で観た『素晴らしき日曜日』をDVDで観た。
黒澤作品は当然、全30作のすべてを観ている。中でも好きな作品はそれこそ30回とか…もう、覚えるくらい観ている。でも、この小品は3回しか観てなかった。

https://youtu.be/EFDwEefYJlk

黒澤映画は日本映画の中にあってダイナミックで洋画のようだった。そこが好きだった。ところが、この『素晴らしき日曜日』は…重く暗く貧しく、生々しくジメジメした感じがして嫌だった。黒澤映画らしくないと位置づけていたのだろう。

『姿三四郎』で監督デビューして、確か『素晴らしき日曜日』は6作目。昭和22年の作品で、このころはいわゆる青春ものが多い。黒澤監督も若かったんだな。
この次の作品でやっと三船敏郎が出てくるわけだが、今回観直して…新鮮というか、昔とは少し違う印象を受けた。三船の登場以前に、黒澤明の演出の形はすでにできあがっていたんだなぁと痛感した。

『素晴らしき日曜日』は笑いも多く、明るく希望に満ちている。喫茶店から音楽堂へとつづくラストは、今観ても色あせない。
黒澤監督らしい作品だったんだなぁ。場面場面で、後の数々の黒澤映画を思い出させた。

今ごろになっての大発見だが、『素晴らしき日曜日』には…ディズニーの『ファンタジア』の影響もあるのかもしれない。

そのときは彼によろしく伝えるもエ~ガね

メルヘンかな、ファンタジーというより…。これも青春恋愛ものだろうけどね。『そのときは彼によろしく』のこと。

https://youtu.be/ifwy6Y-LV2g

懐かしく思った。この映画の主人公のように、わしも子どものころは水辺が好きだった。水草とか、小魚とか…。
福永武彦の「廃市」ではないが、いつも水の音がしていた。ずっと川を眺めていた。森の中に小川が流れ込んでいるところを見つけ、そこに池をつくって魚を飼ってたりして…。水槽は高価だったので、そっちに手を出したのは大人になってからだったな。

と、わしのことなんかより、映画のことを書かなくちゃね。
『そのときは彼によろしく』は「いま、会いにゆきます」の市川拓司の小説が原作で、監督は平川雄一朗。

幼なじみの3人が13年後に再会する。回想を交えながら…美しく懐かしく展開する。
ただ、子ども時代の水辺とか古いバスとかに汚れがない。湿気や臭いや影がない。綺麗すぎる。いかにも、美術スタッフがつくりましたって感じ。
もちろん、わざとそうしてるんだろう。映画だから綺麗でいいんだろうけどね。美しい思い出の表現だろうし…。

遠い記憶や夢の中でつながってるという感覚が好きだった。
13年後の現在、主人公(山田孝之)は水草のお店をやってる。水槽の中の水草が神秘的で別世界のように美しい。そこにある人(長澤まさみ)が訪ねてきて…。実は彼女は…。
絵を描いてた子も大人になって画家(塚本高史)らしくなってる。個人的にはケーキ屋の人(国仲涼子)が気になったけどね。

ふと、手塚マンガの「ガラスの脳」を思い出したりもした。
「ガラスの脳」は「眠り姫」をモチーフにした短編で、確か…『リング』の中田秀夫監督が映画にしてたな。

『そのときは彼によろしく』の中で、オニバスの種というのが出てきた。いわゆる蓮だ。50年も芽が出ずに眠ったままだという。映画の設定なのか実際にそうなのか、興味を持った。
通り道にそういう店があったので、今度、聞いてみよう。

懐かしく感じたのは…わしの誕生日だったこともある。何歳だったかはすぐには出てこなかったりもするが、日にちだけは忘れることがない。あたり前かな。
ともかく、この映画は子どものころのことを懐かしく思い出させてくれた。今度、原作も読んでみよう。

あやしい彼女に出会うもエ~ガね

あやしい彼女に会った。もちろん、映画の話。ファンタジーだろうけど、青春映画としておこう。

https://youtu.be/YWdG3LjHVOw

この映画は…元はファン・ドンヒョク監督の韓国映画。リメイクは中国版、ベトナム版、アメリカ版などなどもあるらしい。多くのリメイクを生んだ理由は基本ストーリーが簡単でわかりやすいからだろう。笑いと感動がある。
そして、日本版がこの『あやしい彼女』というわけだ。監督は水田伸生。

『あやしい彼女』の主演は多部未華子。彼女を初めて観たのは『HINOKIO』だった。ラストの笑顔にヤラれた。少女のかわいさと少年の凛々しさを併せ持っていて、いつか「どろろ」が映画になるなら彼女に演じてもらいたいと思ったものだった。

73歳のおばあちゃんがふとしたことで20歳の娘になる。日本版では倍賞美津子がおばあちゃんを演じている。20歳になってからが多部チャンというわけだ。彼女はマンガチックな映画がよく似合う。
若くなっても意識はおばあちゃんのままだから…誰に対しても毒舌でタメ口。これぞ、あやしい彼女だ。

あるとき、歌を唄う。もちろん、懐かしい歌を…切なく…。それを要潤演じるあやしい音楽プロデューサーが聴いて、歌手にしようとする。

心は73歳だから、演じる多部未華子は大変だったろうと思う。あるいは、先輩俳優に上から目線で演じられることがたのしかったかもしれない。
ただ、皆の心を動かす歌唱力が必要だ。それがないと映画が成り立たない。特訓したんだろうと思う。多部未華子の歌を始めて聴いたが、とてもよかった。心に沁みた。感動した。フォークの「悲しくてやりきれない」とか、特によかったね。

周りは若いと思っているから、最後には若い歌を若々しく唄うことになる。それが「帰り道」という主題歌。とてもよかった。変調するところが特に気に入った。
実際にはanderlustというユニット・グループの歌らしい。というか、彼女たちもうまく映画に出てくる。伸びやかな声がいい。レンタル屋でCDをさがしたが…見つからなかった。他の店をさがして…覚えて、次にカラオケで唄ってみよう。

https://youtu.be/XPImxz_L8Cg

それにしても、『あやしい彼女』のオリジナルと各国のリメイクを全部観て比べるとおもしろいだろうなと思う。

プロフィール

ネコタル爺

Author:ネコタル爺
FC2ブログへようこそ!
ネコ爺ことネコタル爺の高峰 至です。

http://neko.a.la9.jp/

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR