少年時代を唄って思い出すもエ~ガね

「少年時代」といえば井上陽水の歌だが、それが映画の主題歌だと知ってる人は多くないかもしれない。『少年時代』は篠田正浩監督による1990年の作品。脚本が山田太一。そして、原作と製作が藤子不二雄Aなのだ。敬称略。失礼。

https://youtu.be/01gKRpKLIOg

原作マンガの「少年時代」にはさらに原作がある。
旅行の道具を借りにA先生の自宅に伺ったとき、「子どものころに山本有三の“路傍の石”に影響を受けた」というわしの言葉に、「君の“路傍の石”が、私にとっての“長い道”なんだ」とA先生はいわれた。柏原兵三の“長い道”は自分の少年時代に重なる、と…。そのとき、わしは初めてその小説の存在を知った。

そんな話をして駅に向かい、そこでF先生とも合流して、三人で一緒に新宿の仕事場に向かった。当然、当時はAとかFとかって分類はなかった。電車内でスチュワーデスみたいな人から飲み物を聞かれたので驚いたが、乗ったのはロマンスカーだったのだ。大昔の思い出だ。

ともかく、後にその小説をベースにマンガの「少年時代」が生まれた。それが…映画『少年時代』の原作なのだ。

第二次大戦末期。進二は東京から富山に疎開する。そこには…級長だけど番長みたいなタケシがいた。学校へとつづく一本道。当時を再現するためにアスファルトをはがして撮影している。
なぜ、タケシは進二をいじめるのか。進二が主人公というより、狂言回しに近い気もした。人生は出会いと別れ…。そこにはボーイズラブ的なものもあったかもしれない。「何でかのぅ。わからんのぅ」といいながら進二を殴りつけるタケシに切ないものを感じたりもした。

映画の完成披露パーティにも呼んでいただいた。
映画に感激したわしは、篠田正浩監督に「監督の映画の中で一番好きです」といってしまいムッとされたものだった(笑)。ふたりの少年とも話したが、小さいのに驚いた。画面では大きく感じたからだ。特にタケシ役の地元の少年は…存在感があった。あのとき、淀川長治さんともちゃんと話しておくんだったな。

映画としては大好きだったが、小品だったせいか…興行的には必ずしも成功とはいえなかったと思う。でも、評価されて映画賞とかをたくさんいただいたわけで、よかった。うれしかった。A先生の思いが昇華されて映画になったことがうれしかった。

ラスト、別れのシーンで井上陽水の「少年時代」が流れる。A先生が交流のあった陽水に依頼したものだ。この曲が生まれたいきさつも内輪で知っているが、もう触れないでおこう。カラオケでこの歌を唄うと…映画の場面が浮かんでくる。

どうしてこの映画のことを書く気になったかといえば、久しぶりにA先生と会ったから…。お元気そうで、それが何よりうれしかった。


私の男になるもエ〜ガね

熊切和嘉監督の『私の男』を観ました。でも、わしは…映画の観賞方法を間違えたようです。

http://www.youtube.com/watch?v=poVoqV_kO0U
http://www.youtube.com/watch?v=q1MjpfE1cFc

わしは桜庭一樹の原作小説の1章だけを読んで映画を観たのです。プロローグあたりまでを読んで、次に映画って…。ところが、原作は6章まであって…過去へ過去へと遡る構成だったのです。
対して映画は時系列に構成されていた。つまり、わしが読んだ1章は…出だしではなく、映画の最後だったわけです。

原作は「私の男は、ぬすんだ傘をゆっくりと広げながら、こちらに歩いてきた」という文章から始まる。映像での赤い傘部分です。
貧乏なのに優雅。甘くけだるい雰囲気。原作小説の1章は…とても気に入りました。ずっと読んでいたい。終わらないでほしいとさえ思いました。でも、1章は結果の部分だったんですね。2章3章4章と…その原因が暗く深くおぞましく掘り起こされていく。

映画はよかったのです。言葉に頼らず、映像で語る。そういうところが好きです。ただ、映画のラスト部分は原作ほどの内容がなく、物足りなく感じました。映画を観ている人に…登場人物たちの気持ちがどこまで伝わるかなぁと心配にもなりました。
小説の1章を読んでいなかったら…こういう気持ちにならずに済んだでしょうね。今さらいっても仕方ないけど、映画を観てから読めばよかった。

小説の1章を読み出して驚いたのですが、主人公の淳悟はまるで浅野忠信のイメージそのものですね。この映画、キャスティングの段階で成功でしょう。
淳悟を演じる浅野忠信はもちろんよかったけど、花を演じる二階堂ふみもよかったのです。浅野忠信が主演男優賞なら、二階堂ふみにも賞をあげてほしかった。
以前、役所広司監督の『ガマの油』を観たとき、二階堂ふみにホレました。そのとき、彼女は満島ひかりクラスの女優になるだろうって思ったんですよ。
二階堂ふみは「演じる」とはいわず、「役に自分の身体を貸す」というような表現をしています。そういうところがいいですね。

熊切和嘉監督のことはよく知りません。『鬼畜大宴会』という作品で注目されたそうだけど、ヘルツォークの『小人の饗宴』みたいな映画かな。そういう種の映画を得意としているんでしょうか。今後に期待ですね。
昔観たATG映画の数々や、『贅沢な骨』の行定勳監督、『君は裸足の神を見たか』の金秀吉監督、『追悼のざわめき』の松井良彦監督などを思い出したりもしました。そういえば、彼女の匂いが付いた靴下とかを欲しがる変態的青年を主人公にした映画があったけど、監督も作品名も忘れた…。

原作の『私の男』は直木賞受賞作だそうです。知りませんでした。
驚いたのが…原作者である桜庭一樹のこと。女性なんですね、この人。1章は花の側の視点で書かれていて、男にここまでの女心が書けるなんて…と驚いたのです。作者が女性ならばわかる。わかる気がします。
ところが、2章は男の側から書かれている。巧みな男心の表現。この人、本当に女性だろうかと…やっぱり驚きます。

それにしても、人の道とは何でしょう。流氷が流れ着くと、そこは青白い大地になるという。どこまでが陸で、どこからが海なのかがわからなくなるという。人の道もそうなのでしょうか。
魂の奥底にある…人の孤独は何て深いものでしょう。うれしすぎるが故の悲しさ。淋しすぎるが故に渇望する気持ち…。恐ろしいほどに切ない。
許されるはずもない禁断の愛…。しかし、その道は誰が許さないのか。


6章まで読み終えました。
無垢な魂の中に存在する奈落。
それは…暗く深く純粋でドロドロです。
闇の中の姿はグロテスクで…切なく美しい。

わしの頭の中で、映画と原作小説がひとつになりました。
彼らは朽ち果てたのでしょうか。魂はひとつに同化したのでしょうか。
淳悟と花。あれからふたりはどうなったでしょう。どうしているんでしょうね。

できれば…わしの心の押し入れにずっとしまい込んで、出したくない気持ちもあるのです。

トロッコに乗って知らない世界へ行くもエ〜ガね

わしは子どもの頃、トロッコに憧れました。奥深い山道につくられた木材運び出しのためのトロッコ。まるで、電車のおもちゃみたいなトロッコ。それに乗れば今まで知らなかった世界へ行けるような…そんなワクワクした気持ちになったものでした。

トロッコって何語かご存じですか? 実は日本語だという説があるのです。トロというネコを乗せていた“トロ号”から来ているという説です。かわいいですよね。

レンタル屋の棚の隅に、誰にも借りてもらえず忘れられたように置かれていた1枚のDVD。それが『トロッコ』でした。ジャケットには「芥川龍之介の短編小説をモチーフにしてつくられた映画」と書かれていたんです。

芥川龍之介の短編「トロッコ」には、子どもの頃にトロッコに乗ったときの高揚感や、行きはよいよい帰りは怖い的な様子が書かれています。そのときの自分を大人になっても思い出す。道はあの頃とつながっている…と。

『トロッコ』を観ました。原作小説での神奈川県から、映画では台湾の花蓮県に舞台が替わっていました。
若い母親の久美子がふたりの男の子を連れて、急死した夫の故郷である台湾に行くところから映画は始まります。両親に夫の遺骨を届けるために…。
久美子役はNHK朝ドラの尾野真千子。監督はこれが初監督作となる川口浩史(今はどうしているのかな)。
あとはすべて、緑がいっぱいの台湾での撮影です。初めての台湾。小学生兄弟の敦と凱の戸惑い。初めて会うお爺ちゃんとお婆ちゃん。その土地での人々。そして、そこに今も残っていたトロッコ…。ドキュメンタリーみたいですね。まるで、懐かしい昔の日本のような風景です。

最初、川口監督は芥川龍之介の「トロッコ」をモチーフにして短編映画をつくろうとしたんでしょう。そうしたら、台湾は花蓮の山中に撮影できるトロッコがあるという。そんなわけで、いろいろ肉付けして『トロッコ』はこういう…国をまたいでの家族の話になったんでしょうね。

子どもたちを預かって映画をつくったという点では、小栗康平の『泥の河』を思い出したりもしました。


わしは台湾のことを詳しく知らなかったんです。日本の植民地統治は50年もつづいたんですね。
そして、日本は戦争に負けて…台湾を見捨てた。国としてはそうせざるを得なかったでしょう。しかし、それに対して、台湾の人たちの心に「日本が好きなのに…いっしょに戦ったのに何もしてくれない」という愛憎が生まれたんでしょう。

日本が台湾を統治していた間…つまり日本時代、社会的秩序は安定していたようです。当時の人がその頃を記憶していて…孫たちにも「日本はすばらしい国だ」と語り伝えた。当然、日本製品も多く使われたでしょうしね。
現在、台湾の多くの若者たちが日本を好きでいてくれるのはそういうベースがあるからなんですね。

その頃を描いた『セデック・バレ』 という台湾映画があります。その映画のことは改めて取り上げましょう。

戦後、台湾は中国に返還されたわけです。
台湾の人たちが本国である中国を嫌うのはどうしてか。中国は…台湾の抵抗した民衆を武力で鎮圧した歴史があるんですね。
中国の内戦によって…毛沢東に敗れた蒋介石は、逃れた先の台湾で高圧的な統治を行なった。それは日本が統治していたころの安定したものとは違っていたんでしょう。

愛憎が入り交じった根深い歴史ですが、それを通り越して…国も民族も通り越して、真心で向き合いたい。そうしていつか、だんだんと家族になっていくんですね。

友好的な感情は大切…。その気持ちを大切にしよう。『トロッコ』からはそういう思いが伝わってきたんです。
でも、映画にはそういう歴史はほとんど出てきません。寡黙だし、淡々としています。ただ、敦と凱のお爺ちゃんの顔を観ていると…たどたどしい日本語を聴いていると…それだけで伝わってくるのです。
うまくいえませんが、『トロッコ』はそういう映画でしたね。

とはいっても、おそらく誰も観てないでしょうけど(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=fqD-pBGANN8


こういうのもあります。 心に染みますね。
世界の中の日本。アジアの中の日本。
恥ずかしくない国でありたい。
誇れる国でありたい。
http://www.youtube.com/watch?v=l7y34x-BVP8&feature=related


DVDラベル=トロッコ

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